柔らか（読み）ヤワラカ

デジタル大辞泉

やわら‐か〔やはら‐〕【柔らか／軟らか】

［形動］［文］［ナリ］
１ ふっくらとして堅くないさま。また、しなやかなさま。「―な餅」「―な布団」「―なからだ」
２ おだやかなさま。柔和なさま。「―な日ざし」「―な言い方」
３ 堅苦しくないさま。融通がきくさま。「―な話」「若い人の―な考え方」
[類語]やわらかい・柔軟・軟化・しなやか・軟質・軟弱・柔い・やんわり・ソフト・マイルド・まろやか・穏やか・穏便・穏当・紳士的・婉曲えんきょく・甘美・快美・当たらず触らず・物柔らか・曖昧・ほどほど・控え目・ぼかす・ぼやかす・ぼやける・うやむや・メロー・柔和・温厚・温和・穏健・まったり・丸い・ゆるやか

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

やわら‐かやはら‥【柔か・和か・軟か】

1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「か」は接尾語 )
2. ① 手ざわり、肌ざわりがふんわりしているさま。弾力性に富むさま。やわらかいさま。
   1. [初出の実例]「成熟して潤沢(うる)ひ香(きらきら)しく耎(ヤハらカニ)美(うま)くあらしめむ」(出典：地蔵十輪経元慶七年点（883）一)
3. ② 性格・気持・様子・言動などがおだやかなさま。柔和。また、柔順なさま。
   1. [初出の実例]「やはら手枕(たまくら) 也波良加(ヤハラカ)に 寝(ぬ)る夜はなくて 親離(さ)くる夫(つま)」(出典：催馬楽（７Ｃ後‐８Ｃ）貫河)
   2. 「いとやはらかにの給ひて、おに神もあらだつまじきけはひなれば」(出典：源氏物語（1001‐14頃）帚木)
4. ③ 厳しくないさま。堅苦しくないさま。また、世事に通じてくだけているさま。
   1. [初出の実例]「邵伯が政のやはらかなりし、州民甘棠の詠をなし、羊祜が意の広かりし、門客峴亭の碑をたてけり」(出典：十訓抄（1252）一)
5. ④ ほんのりとした暖かみがあって快いさま。
   1. [初出の実例]「よつのうみ 波もしづかに をさまりて 空ふく風も やはらかに 枝もならさず」(出典：十六夜日記（1279‐82頃）)
6. ⑤ よくこなれたさま。なめらかなさま。
   1. [初出の実例]「舌のやはらかなるままに、君の御事な申そ」(出典：平家物語（１３Ｃ前）一一)
7. ⑥ 本来の厳しさに欠けてなまぬるいさま。
   1. [初出の実例]「やはらかな事やはらかな事・上方の喧嘩は江戸の噺声」(出典：俳諧・広原海（1703）九)
8. ⑦ 考え方などが、かたくなでなく柔軟性があるさま。
   1. [初出の実例]「然ういふ出来損ひや未成品の末流思想が却って案外にも頭のまだ柔かな青年に喜ばれ又共鳴される事も亦否み難い」(出典：読書放浪（1933）〈内田魯庵〉上下思想とルパシカ思想)

出典　精選版 日本国語大辞典