穏便(読み)オンビン

デジタル大辞泉 「穏便」の意味・読み・例文・類語

おん‐びん〔ヲン‐〕【穏便】

[名・形動]
物事をかど立てずおだやかに行うこと。また、そのさま。「穏便処置
手軽なこと。便利なこと。また、そのさま。
「ここに五軒の娼家あり、至りて―なるあそびにして」〈寛天見聞記〉
[類語]マイルドまろやか穏やか穏当紳士的婉曲えんきょく甘美快美当たらず触らず物柔らか曖昧ほどほど控え目ソフト柔らかい柔軟しなやか軟化柔らか軟質軟弱やわやんわりぼかすぼやかすぼやけるうやむやメロー柔和温厚温和穏健まったり丸いゆるやか物静か内気弱気引っ込み思案気弱内弁慶陰弁慶臆病大人しいこわがり小心小胆怯懦きょうだ怯弱きょうじゃく意気地なし小心翼翼弱腰薄弱惰弱柔弱優柔不断やわ弱弱しい女女しい弱音を吐く・音を上げる悲鳴を上げる・気が弱い腰が弱い煮え切らない肝が小さい・肝っ玉が小さい・温順柔順従順温柔温良順良素直おとなしやか優しい内向的人見知りしんねりむっつりシャイ心静か安らか安穏のどか悠長悠然悠悠悠揚浩然どっしり気長伸び伸び伸びやかのんびり屈託無い自然体のんどりしとやかなよやかなよなよしっとり静静しずしずおっとり婉然えんぜんしおらしい閑語たおやかナイーブ心優しい温雅鷹揚おうよう静心しずこころ従容しょうよう悠悠閑閑おおどかつつましい奥ゆかしい泰然自若平静冷静安静しみじみしっぽりしんみり静まる温顔温容春風駘蕩たいとう粛粛静謐せいひつ静粛

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精選版 日本国語大辞典 「穏便」の意味・読み・例文・類語

おん‐びんヲン‥【穏便】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 穏やかなこと。尋常であること。また、事を荒だてたり、過激な措置をとったりしないさま。
    1. [初出の実例]「欲使寝膳如常、起居穏便」(出典:続日本紀‐天平勝宝六年(754)七月丙午)
    2. 「初の景気今の風情相違して見えたり。されば人には馴れて見えたり。をんびんの者にてありけるや」(出典:義経記(室町中か)三)
    3. 「十ドルのないさいぎんをそくざにいだしてことおんびんにすますこと」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉四)
  3. 静かなこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「独子ゆきて、穏便のところに坐禅す」(出典:正法眼蔵(1231‐53)行持下)
  4. 簡単なこと。手軽なこと。便利なさま。
    1. [初出の実例]「悦て下人に隠して穏便(ヲンビン)器物に入て」(出典:雑談集(1305)三)
  5. 内証にすること。隠しておくさま。
    1. [初出の実例]「おいらが事はけしておんびんだよ」(出典:洒落本・色講釈(1801))
  6. 古い音韻学の用語で、「音便」のこと。
    1. [初出の実例]「凡呼連字上下二音相当謂為穏便」(出典:悉曇蔵(880)五)

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普及版 字通 「穏便」の読み・字形・画数・意味

【穏便】おん(をん)びん

無理がなく、便利。〔貞観政要政体〕今より詔敕に穩ならざるるを疑はば、必ず須(すべか)らく執言すべし。

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