極める(読み)キワメル

デジタル大辞泉 「極める」の意味・読み・例文・類語

きわ・める〔きはめる〕【極める/窮める/究める】

[動マ下一][文]きは・む[マ下二]
(極める)これより先はないというところまで行き着く。「富士山頂を―・める」「頂点を―・める」
(極める・窮める)極点に達した状態になる。この上もない程度までそうなる。「ぜいたくを―・める」「困難を―・める」
(極める)残るところなく尽くす。「口を―・めてほめる」「理を―・めて言う」
(究める・窮める)深く研究して、すっかり明らかにする。「真理を―・める」「道を―・める」
終わらせる。
「この渚に命をば―・めむ」〈明石
決める。定める。
いづれも様、これに―・めさせられまするか」〈虎寛狂・鬮罪人
きわまる」に同じ。
「数ふるも三冬の後の冬なればいとど寒さの―・めゆくかな」〈新撰六帖・一〉
[類語](3突き詰める煎じ詰める/(4研究考究探究学問討究講究調査分析論究攻究究理研鑽けんさんスタディーリサーチ調べる/(5限る絶する

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精選版 日本国語大辞典 「極める」の意味・読み・例文・類語

きわ・めるきはめる【極・窮・究】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]きは・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. 極限にまで達せさせる。物事を果てまで押し詰める。この上なしの所まで至らせる。
      1. [初出の実例]「我がかく悲しびをきはめ、命尽きなんとしつるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
      2. 「高き位に登り、奢(おごり)をきはむるもあり」(出典徒然草(1331頃)三八)
    2. 終わらせる。
      1. [初出の実例]「何ばかりの過ちにてか、この渚(なぎさ)に命をばきはめん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
    3. 残るところなく尽くす。
      1. (イ) 道理を尽くす。
        1. [初出の実例]「誠を尽くし理を究(キハメ)仰せられければ、孔明辞するに詞(ことば)なくして」(出典:太平記(14C後)二〇)
      2. (ロ) 学問、芸道などの奥底まで探る。
        1. [初出の実例]「立破の源を究(キハメ)、字転の本を窮(きはめ)ずといふこと莫(な)し」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)一)
    4. 定める。決める。決心する。決定する。
      1. [初出の実例]「呂蓮、いや私は此(この)呂蓮に極(キハメ)ませう」(出典:雲形本狂言・呂蓮(室町末‐近世初))
      2. 「某(それがし)義、京都在府に極(きはめ)られ、家中の仕置仕る故」(出典:浄瑠璃伽羅先代萩(1785)九)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]きは・む 〘 自動詞 マ行下二段活用 〙きわまる(極)
    1. [初出の実例]「老いにきはめてすみかもなくなりて」(出典:檜垣嫗集(10C後か))
    2. 「抑新田殿の御一家の運爰(ここ)にて悉(ことごと)く極(キハ)め給はば、誰々も残らず討死すべけれ共」(出典:太平記(14C後)一八)

極めるの語誌

( 1 )主に漢文訓読系の語とされる。「源氏物語」にも用いられているが、かたい表現の中で数例見られるのみである。
( 2 )中古から「きはむ(きはめる)」自体に[ 二 ]のように自動詞用法も見えるが、他に自動詞形として「きはまる」が上代から存しており、副詞も「きはめて」と「きはまりて」とが対応している。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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