機縁(読み)キエン

デジタル大辞泉 「機縁」の意味・読み・例文・類語

き‐えん【機縁】

仏語。教えを求める資質が、教えを説くきっかけとなること。
ある物事が起こったり、ある状態になったりする、きっかけ。縁。「子供のときに読んだ本が機縁となって今の仕事に就く」
[類語]きっかけ縁因因縁宿縁契り奇縁腐れ縁悪縁運命運勢命運天運天命巡り合わせ回り合わせ星回り命数暦数宿命宿運定め時運

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精選版 日本国語大辞典 「機縁」の意味・読み・例文・類語

き‐えん【機縁】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「機」は人の資質、「縁」は条件の意 ) 仏語。正しい教えを求める資質が、教えを説くための縁になること。
    1. [初出の実例]「ほねのとどまれるもあるべからねども、かくれ給ふ事は機縁に随ひのこし給へる」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
    2. [その他の文献]〔最勝王経‐一〕
  3. 事柄が起こり、または、特定の状態になるべき因縁。きっかけ。機会。または来由、事歴の意。
    1. [初出の実例]「聖人、機縁深く在(まし)まして、今、此の家に来り宿り給」(出典今昔物語集(1120頃か)一五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「機縁」の意味・わかりやすい解説

機縁
きえん

もと仏教語で、根機(こんき)・因縁(いんねん)の略。仏の教えを受けるものの素質能力(根機)と、仏の教えに触れる原因条件(因縁)とをいい、この両者が熟して初めて仏の衆生教化(しゅじょうきょうげ)があるとされる。現在では広く「機会」「契機」「動機」などの意に用いられる。

 特殊な用法として、禅宗では、師が弟子に対して、機に臨み、縁に応じて教育するもっとも適切な方法手段をいう。

[藤井教公]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「機縁」の意味・わかりやすい解説

機縁
きえん

仏教の教えによって教導される者の素質を機といい,これが教えを説き救いの働きを現すゆかりとなることをいう。また単にゆかり,機会をいう。

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普及版 字通 「機縁」の読み・字形・画数・意味

【機縁】きえん

きっかけ。

字通「機」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の機縁の言及

【公案】より

…仏や祖師の説法,もしくは問答を指す。機縁,因縁,話頭,または単に話ともいう。宋初につくられる禅宗史書の一つ《景徳伝灯録》に,過去七仏より編者の時代に至る,1701人の仏祖の名を掲げ,その問答を伝法の順に集録することから,一千七百の公案という発想があらわれる。…

※「機縁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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