デジタル大辞泉
「夫」の意味・読み・例文・類語
ぶ【▽夫】
1 公事などのために徴発された人夫。夫役に従う人夫。
「この御堂の―をしきりに召す事こそ」〈大鏡・道長上〉
2 (「歩」とも書く)雑兵。
「かたちをやつし―になり」〈太平記・一〇〉
ひこ‐じ〔‐ぢ〕【▽夫】
《「ひこ」は男子の美称。「じ」は敬称》おっと。
「その―答へて歌ひたまひしく」〈記・上〉
お‐うと〔を‐〕【▽夫】
《「おひと」の音変化》おっと。
「―は若く色衰へず盛りなる程なり」〈水鏡・上〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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せ【夫・兄・背】
- 〘 名詞 〙 夫、兄弟、恋人などすべて男性を親しんでいう語。主として女性が用いる。せこ。せな。せなな。せのきみ。せろ。せうと。⇔妹(いも)。
- (イ) 女性が、自分の夫あるいは恋人である男性に対して用いる場合。畏敬の念を伴わない。
- [初出の実例]「後れ居て恋ひつつあらずは追ひ及(し)かむ道の隈廻(くまみ)に標(しめ)結へ吾が勢(セ)」(出典:万葉集(8C後)二・一一五)
- 「あはぬせをこひしとおもはば思どちへんなかがはにわれをすませよ」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
- (ロ) 女性が兄または弟に対して用いる場合。年齢の上下を区別しない。
- [初出の実例]「言問はぬ木すら妹(いも)と兄(せ)と有りと云ふをただ独り子にあるが苦しさ」(出典:万葉集(8C後)六・一〇〇七)
- (ハ) 男性が、兄弟その他の親しい男性に対して用いる場合。歌語に特有である。
- [初出の実例]「向かつ峰(を)に 立てる制(セ)らが 柔手(にこで)こそ 我が手を取らめ」(出典:日本書紀(720)皇極三年六月・歌謡)
ぶ【夫】
- 〘 名詞 〙
- ① 公事のために徴発された人。夫役(ぶやく)の人夫。
- [初出の実例]「始造二八幡比売神宮寺一。其夫者便
二神寺封戸一」(出典:続日本紀‐神護景雲元年(767)九月乙丑)
- ② ( 「歩」とも書く ) いくさにかり集められた人足。名もない下級の兵士。雑兵(ぞうひょう)。
- [初出の実例]「貌をやつし夫(ブ)になり、中間二人に物具きせて馬にのせ」(出典:太平記(14C後)一〇)
おっとをっと【夫・良人・所天】
- 〘 名詞 〙 ( 「おひと(男人)」から変化した語 ) 結婚している男を、女を妻というのに対していう語。夫君。亭主。また、結婚している、していないにかかわらず、女に対する男の意としても用いられる。おうと。
- [初出の実例]「紀伊の二位の夫たるによって」(出典:平治物語(1220頃か)上)
ひこ‐じ‥ぢ【夫】
- 〘 名詞 〙 ( 「ひこ」は男子の美称。「じ」は敬称 ) りっぱな夫をいう。男子の名の一部にも用いる。
- [初出の実例]「其の比古遅(ヒコヂ)〈三字は音を以ゐよ〉答へて歌ひたまひしく」(出典:古事記(712)上)
お‐うとを‥【夫】
- 〘 名詞 〙 ( 「おひと(夫)」の変化した語 ) おっと。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
- [初出の実例]「聟(ヲフト)塩商たること十五年」(出典:白氏文集天永四年点(1113)四)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「夫」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の夫の言及
【婚姻】より
…婚姻とは,社会的に承認された夫と妻の結合であり,この〈夫〉と〈妻〉の資格,役割については,それぞれの社会において独自の意味づけがなされている。この意味づけはときとしてひじょうにかけ離れているので,上記の広い定義にもう少し具体性をもたせようとすると,その定義からはずれてしまう事例が出てくる。…
【離婚】より
…日本では,他のアジア諸国と同じように,宗教や公権力によって離婚が規制されることはなかったので,かなり古くから,離婚は自由にされていた。ただし,夫側からの離婚のみであって妻側には離婚の自由がなく,妻の離婚請求権を初めて認めた1873年5月15日太政官布告も,父兄弟の付添いを条件とし,夫妻双方の離婚請求権を認めた明治31年民法も不平等な離婚原因を残していた。夫婦平等の離婚制度が出現したのは,ようやく1948年施行の現行民法に至ってである。…
※「夫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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