(読み)ダン

デジタル大辞泉 「檀」の意味・読み・例文・類語

だん【檀】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ダン(呉) タン(漢) [訓]まゆみ
〈ダン〉
香木の名。「檀香栴檀せんだん白檀びゃくだん
ニシキギ科落葉樹の名。マユミ。「檀紙
梵語の音訳字。布施。「檀家檀那
〈タン〉木の名。「黒檀紫檀

ま‐ゆみ【×檀/真弓】

ニシキギ科の落葉低木。山野に生え、葉は楕円形で、対生。雌雄異株初夏、緑白色の小花が集まって咲き、果実はほぼ四角形で、熟すと四つに裂けて赤い種子が現れる。古くは材で弓を作った。やまにしきぎ。かわくまつづら。 花=夏 実=秋》
(「檀弓」とも書く)マユミの木で作った弓。
かさねの色目の名。表は蘇芳すおう、裏は黄。多く秋に用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「檀」の意味・読み・例文・類語

ま‐ゆみ【檀・真弓】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ニシキギ科の落葉低木または小高木。各地の山野に生え、観賞用に栽植される。高さ約三メートル。若い枝には四稜と白いすじがある。葉は柄をもち対生。葉身は楕円形または倒卵状楕円形で縁に細鋸歯(きょし)がある。五~六月、葉腋から花柄がのび、淡緑色の四弁花が十数個集まって咲く。雌雄異株。果実はほぼ四角形、淡紅色に熟したのち四裂して赤い種子を露出する。材でこけしや将棋の駒を作る。昔、この木で弓を作ったところからの名。漢名とする桃葉衛矛・檀は誤用という。やまにしきぎ。檀の木。

▼まゆみの花《 季語・夏 》

▼まゆみの実《 季語・秋 》

  1. [初出の実例]「ちはや人 宇治の渡りに 渡瀬に 立てる 梓弓 麻由美(マユミ)」(出典:古事記(712)中・歌謡)
  2. ( 檀弓 ) マユミの木を使ってつくった弓。丸木のままで弓につくり、白檀弓(しらまゆみ)・反檀弓(そりまゆみ)・小檀弓(こまゆみ)などがあり、また、その産地によって、安達太郎(あだたら)檀弓・十津川(とつかわ)檀弓・常陸(ひたち)檀弓・信濃(しなの)檀弓などという。
    1. [初出の実例]「み薦刈る信濃の真弓(まゆみ)わが引かば貴人(うまひと)さびていなと言はむかも」(出典:万葉集(8C後)二・九六)
  3. (かさね)の色目。表は蘇芳(すおう)、裏は黄で、多く秋に用いる。〔雁衣鈔(鎌倉末か)〕

だん【檀】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] dāna 檀那の略 ) 仏語。布施すること。
    1. [初出の実例]「六度三学は開合の異也。檀(ダン)は諸度の始、施に六度を接し、群生を利す」(出典:雑談集(1305)一)

だん【檀】

  1. 姓氏一つ

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普及版 字通 「檀」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 17画

[字音] ダン
[字訓] せんだん・まゆみ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は亶(たん)。〔説文〕六上に「檀木なり」とあり、まゆみ。梵語の音訳の字に用いることが多く、檀那・檀越・檀林のような語がある。

[訓義]
1. せんだん、栴檀の木。
2. まゆみ。
3. 仏教語で、施す意。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕檀 檀なり。加良梨(から梨)〔和名抄〕檀 末由美(まゆみ) 〔名義抄〕檀 セムダム・マユミ・カザル・モハラ・ホシイママ・ホドコス 〔立〕檀 モハラ・ヒトリ・ホシイママ・マユミ・ホドコシ

[熟語]
檀暈・檀越・檀桓・檀・檀君・檀口・檀香・檀車・檀柘・檀脣・檀施・檀那・檀板・檀木・檀欒・檀林・檀郎
[下接語]
椅檀・槐檀・香檀・黄檀・黒檀・紫檀・斫檀・樹檀・栴檀・沈檀・伐檀・白檀・緑檀・林檀・霊檀・櫟檀

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「檀」の解説

檀 (マユミ)

学名:Euonymus sieboldianus
植物。ニシキギ科の落葉低木・小高木,園芸植物

檀 (タマツバキ)

植物。モクセイ科の常緑低木,園芸植物,薬用植物。ネズミモチの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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