(読み)キョウ

デジタル大辞泉 「狭」の意味・読み・例文・類語

きょう【狭〔狹〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]キョウ(ケフ)(慣) [訓]せまい せばめる せばまる
間隔範囲がせまい。「狭隘きょうあい狭軌狭義狭窄きょうさく狭小
心にゆとりがない。「狭量偏狭
[名のり]さ
難読狭霧さぎり狭山さやま狭間はざま

さ【狭/小】

[語素]名詞に付いて接頭語的に用いられ、その物の幅が狭いという意を表す。「―物」「―織り」

せ【狭】

せまいこと。「…も狭に」の形で用いられる。
「山も―に咲けるあしびの悪しからぬ君をいつしか行きてはや見む」〈・一四二八〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「狭」の意味・読み・例文・類語

せば‐める【狭】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]せば・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. 広がりを狭くする。間隔をつめる。へだたりを少なくする。
    1. [初出の実例]「紫緋、城邑に満つ。居、側(かたはら)に逼(セハム)」(出典:観智院本唐大和上東征伝院政期点(1150頃))
    2. 「吾輩の昼寝の時間も狭められた様な気がする」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一)
  3. 苦しめる。迫害する。また、肩身の狭いおもいをさせる。
    1. [初出の実例]「先祖の所領拝領の上は、祐経にせばめられ、おもひながらぞ候らん」(出典:曾我物語(南北朝頃)八)
    2. 「ひろいせかいにせばめられ、所の住居もならぬ様に身を持なし」(出典:浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)下)

せば【狭】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 形容詞「せばい」の語幹から ) 狭(せま)いさま。
    1. [初出の実例]「墨のいと黒う、薄く、くだりせばに、裏表(うへ)かきみだりたるを」(出典:枕草子(10C終)二九四)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙せばちりめん(狭縮緬)」の略。
    1. [初出の実例]「諸布重宝記。縮緬〈六丈物、十丈物〉、〈略〉、狭十丈物〈同〉、唐縮緬」(出典:随筆・柳庵随筆(1819)八)

せ【狭】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形容詞「さし(狭)」の「さ」と同源で、せまい状態をいう語か ) せまいこと。せまいさま。「…も狭に」の形で、…もせまくなるほどに、…もいっぱいにの意で用いられる。
    1. [初出の実例]「山も世(セ)に 咲ける馬酔木の あしからぬ 君を何時しか 往きてはや見む」(出典:万葉集(8C後)八・一四二八)
    2. 「水もせに浮きぬる時はしがらみのうちのとのとも見えぬもみちは〈伊勢〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)羇旅・一三五九)

さ【狭】

  1. 〘 造語要素 〙 ( 名詞に付いて接頭語的に ) そのものの幅が狭いことを表わす。「狭物(さもの)」「狭織(さおり)」など。

せばし【狭】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙せばい(狭)

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普及版 字通 「狭」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)狹
人名用漢字 10画

(異体字)
12画

[字音] キョウ(ケフ)・コウ(カフ
[字訓] せまい

[字形] 形声
旧字は狹に作り、夾(きょう)声。夾は腋下に人を挟(さしはさ)む形で、狭の意がある。〔説文〕にみえず、〔玉〕に「今、闊狹と爲す」と広狭の意とする。字が犬に従うのは、狭いけもの道の意であろう。

[訓義]
1. せまい、せばまる。
2. 狭少、狭隘、広さの乏しいこと。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕狹 加万志々(かましし) 〔名義抄〕狹 サジ・セバシ・ワキバサム 〔字鏡集〕狹 サシ・ササニス・セハシ・ハサム・ワキハサム・シルス・マナブ

[語系]
狹・・陜heapは同声。陜は〔説文〕十四下に「隘(せま)きなり」、〔玉〕に「廣からざるなり」という。狹の本音はheapと同じく、檻(おり)(こうかん)の類をもいう。

[熟語]
・狭隘・狭義狭急狭郷・狭・狭・狭窄狭斜狭邪・狭弱・狭小・狭浅狭中狭長・狭薄・狭迫・狭量・狭劣狭路・狭廬・狭陋
[下接語]
狭・隘狭・狭・狷狭・広狭・猜狭・窄狭・識狭・短狭・地狭・迫狭・狭・偏狭・阨狭

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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