紛らわしい(読み)マギラワシイ

デジタル大辞泉 「紛らわしい」の意味・読み・例文・類語

まぎらわし・い〔まぎらはしい〕【紛らわしい】

[形][文]まぎらは・し[シク]《古くは「まきらはし」》
似ていて区別がつきにくい。「本物と―・いレプリカ」「―・い名前
まぶしい。まばゆい。
上野かみつけのまぐはしまとに朝日さし―・しもなありつつ見れば」〈・三四〇七〉
気持ちがまぎれるようである。
「おのづからうちたゆみ、―・しくてなむ、過ぐし来るを」〈橋姫
めまぐるしく多忙である。
「わが身も―・しき事あれば、えこそ助け奉るまじけれ」〈仮・伊曽保・下〉
[派生]まぎらわしげ[形動]まぎらわしさ[名]
[類語]似る似寄る似つく似通う通う相通ずる類するまが類似する相似する近似する酷似する肖似しょうじするあやかる似寄り瓜二つ生き写し丸写しそっくり疑似空似もどき紛い似非えせカーボンコピー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「紛らわしい」の意味・読み・例文・類語

まぎらわし・いまぎらはしい【紛】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]まぎらは〘 形容詞シク活用 〙 ( 古くは「まきらはし」 )
  2. まばゆい。まぶしい。
    1. [初出の実例]「かみつけのまぐはしまとに朝日さし麻伎良波之(マキラハシ)もなありつつ見れば」(出典万葉集(8C後)一四・三四〇七)
  3. ともすると雑事にかまけ、大事なことを忘れがちである。また、多忙で大事なことをおろそかにしがちである。
    1. [初出の実例]「おのづからうちたゆみて、まぎらはしくてなむ過ぐし来るを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)
  4. (とりまぎれるほどに)めまぐるしく多忙である。
    1. [初出の実例]「しげきをりは二三日、まぎらはしきほどなどは四五日になる時もありき」(出典:たまきはる(1219))
  5. 物思わしさ、気苦労などが、他のことにとりまぎれて慰むようである。気がまぎれるようである。
    1. [初出の実例]「一品の宮ばかりには参り給て、まぎらはしき歩きもえし給はざりけり」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)四)
  6. 区別がはっきりしない。似ていてまぎれやすい。
    1. [初出の実例]「様子をきいて紛(マギラ)はしき者ならば早速にたたきふせ」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)五)
    2. 「どうしてもこの感じは嫉妬にまぎらはしいやうである」(出典:青年(1910‐11)〈森鴎外〉二三)

紛らわしいの派生語

まぎらわし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

紛らわしいの派生語

まぎらわし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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