茂み。
「夏山の木末(こぬれ)の―にほととぎす鳴きとよむなる声の遥けさ」〈万・一四九四〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
〘名〙
① 草木の枝葉がたくさん生えている所。しげみ。
※万葉(8C後)三・四七八「活道山(いくぢやま) 木立の繁(しげ)に 咲く花も うつろひにけり」
② たびかさなること。しきりであること。
※歌舞伎・傾城筑紫𤩍(1814)四段「篠を突くよふな雨のしげ」
〘形口〙 (文語の形容詞「しげし(繁)」の口語形で、おもに、室町時代から近世にかけて用いられたもの) =
しげし(繁)※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)楚元第六「暦算を置く人に日食のしけい事を問へば不知と云わるるぞ」
※歌謡・田植草紙(16C中‐後)朝歌三番「みやつかいは、しげいもの」
※日葡辞書(1603‐04)「ヒト xiguei(シゲイ) トコロ〈訳〉人々がしばしば行く所」
※今年竹(1919‐27)〈里見弴〉渡風流水「心の往き交ひ繁い沈黙」
〘副〙 (多く「に」を伴って用いる)
① 草木の生い茂っているさまを表わす語。こんもりと。ぎっしりと。
※催馬楽(7C後‐8C)美濃山「美濃山に 之之(シジ)に生ひたる 玉柏 豊の明(あかり)に 会ふが愉しさや 会ふが愉しさや」
② 数量の多いさまを表わす語。すきまもないくらいたくさん。ぎっしりと。ぎっしりいっぱいに。
※万葉(8C後)九・一七九〇「竹珠(たかたま)を 密(しじに)貫き垂れ 斎戸に 木綿取りしでて」
〘名〙 (形動) 多いこと。茂ること。また、そのさま。
※歩兵操典(1928)第一五「教練は順序を逐ひ簡より繁に入り」 〔文章軌範‐一・小序〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報