舎(漢字)

普及版 字通 「舎(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)舍
8画

[字音] シャ・セキ
[字訓] すてる・おく・やどる・いえ

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
+口。は把手のある掘鑿(くつさく)刀。これで木や土を除くことを余という。口は祝詞を収める器の(さい)。この器を長い針で突き通すことによって、その祝の機能を失わせることをいう。ゆえに「すてる」が字の原義で、(捨)の初文。それより、ことを中止し、留め滞る意となる。〔説文〕五下に「市居を舍と曰ふ」とし、字形宿舎の建物の形と(しゆう)(集)に従う会意の字とするが、宿舎の意は後起の義。金文の〔令彝(れいい)〕「三事の命を舍(お)く」、〔小克鼎〕「命をに舍く」のように、命を発する意に用い、また〔鼎(こつてい)〕「矢五束を舍(あた)ふ」のように用いる。

[訓義]
1. すてる、捨の初文。のぞく。
2. おく、外に出す、命を発する、ものを賜う、ほどこす。
3. すておく、とどめる、やどる、おる。
4. やどり、いえ、やしき、へや、役所、建物。
5. いこう、やすむ、おさめる。
6. 赦と通じ、ゆるす。
7. 釈と通じ、とく、はなす、はなれる。

[古辞書の訓]
名義抄〕舍 ヤドル・スム・ヤム・スツ・オク・ハナツ・タユメリ・ユルス・ノゾク・オロス・ヌク 〔字鏡〕舍 トドマル・ヤム・ヤドス・スツ・ユルス・イヘ・トドム・ヤトフ

[部首]
〔説文〕は字を部に属して集居の意とする。〔康熙字典〕以下、字を舌(ぜつ)部に属するが、舌とは何の関係もない。

[声系]
〔説文〕に舍声としてなど三字、余を舍の省声として余(よ)声の字二十一字を収める。余は舍の針の部分だけで、声が異なる。余は與(与)・予と同声の字。

[語系]
舍・sjya、赦・釋(釈)sjyakは声近く、通用することがある。また予・與jiaも声近く、賜与の意に用いることがある。

[熟語]
舎越・舎園・舎屋・舎外・舎館・舎己舎去・舎居・舎業・舎禁・舎兄舎眷・舎止・舎矢・舎次・舎車舎戍・舎宿・舎処・舎身・舎親舎人・舎生・舎息・舎宅・舎中・舎長・舎弟・舎丁舎匿・舎廃・舎発・舎放・舎命・舎菜舎采舎然・舎
[下接語]
駅舎・屋舎・外舎・廓舎・学舎・館舎・起舎・帰舎・客舎・休舎・廏舎・牛舎・居舎・漁舎・寓舎・公舎・校舎・講舎・獄舎・作舎・三舎・山舎・止舎・廝舎・賜舎・次舎・趣舎・宿舎・塾舎・書舎・精舎舎・進舎・趨舎・草舎・村舎・第舎・宅舎・庁舎・邸舎・田舎・伝舎・入舎・避舎・府舎・舎・仏舎・茅舎・民舎・野舎・里舎・旅舎・廬舎

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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