華蔵寺(読み)けぞうじ

精選版 日本国語大辞典 「華蔵寺」の意味・読み・例文・類語

けぞう‐じケザウ‥【華蔵寺】

  1. 島根県松江市枕木町にある臨済宗南禅寺派の寺。枕木山の山腹にある。山号は龍翔山。天長二年(八二五)智元の開創。建長七年(一二五五)済遍が再建。松平氏歴代の祈願所。本尊の薬師如来像は平安中期の作で国重文。枕木山。

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日本歴史地名大系 「華蔵寺」の解説

華蔵寺
けぞうじ

[現在地名]松江市枕木町

枕木まくらぎ山にあり、枕木山と号し、臨済宗南禅寺派。本尊は釈迦如来。寺伝によれば、天長二年(八二五)に最澄の嗣智元長海によって開創された天台宗寺院であったが、のち退転していたのを鎌倉末期に京都東福寺円爾弁円の法孫霊峰慧剣が禅寺として復興したという。「東福寺誌」弘安三年(一二八〇)の項には、神光国師の弟子の一人として「依天慧験 雲州枕木山開山」と記される。しかし禅宗寺院となる前後を通じて、枕木山は薬師信仰を中心とする修験の道場として大きな信仰を集めていたようで、「大山寺縁起」巻三には杵築大社(出雲大社)祭神による国引きについて述べられており、そのなかに浮浪ふろう(島根半島)は「西に鰐淵寺金剛蔵王の霊地なり。


華蔵寺
けぞうじ

[現在地名]深谷市横瀬

利根川と小山こやま川に挟まれた低地に位置する。心王山自心院と号し、真言宗豊山派。本尊は大日如来。寺伝では建久五年(一一九四)新田義兼の開基、開山は弘道といわれる。「風土記稿」によると、中興祐遍は暦応三年(一三四〇)の没、寺内大日だいにち堂再建時の天正一一年(一五八三)二月九日銘の棟札に「東山道上野国新田庄勢田郡横瀬郷、心王山華蔵寺大乗院、当寺開山祐遍法師、大檀那由良信濃守国繁」と記されていたという。


華蔵寺
けぞうじ

[現在地名]陸前高田市小友町

門前もんぜんにある。青竜山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊は釈迦如来。宝暦一一年(一七六一)の「気仙風土草」によれば、永享年中(一四二九―四一)笑堂の開山とあり、「小友村安永風土記」には至徳元年(一三八四)葛西道光の開基と記す。道光は蛇ヶ崎じゃがさき城主及川顕常の法号と推定されている。道光は応永八年(一四〇一)八月一二日付の二通の寄進状(当寺蔵)東磐井ひがしいわい大原おおはら(現大東町)内砂子田三〇〇刈・居成木いなりぎ屋敷田二七〇刈と気仙けせん綾里りようり(現三陸町)の大蔵分塩月割三斗五升を当寺に寄せている。また同日栄三から大原庄内の萱平内二郎在家一宇・田五〇〇刈・佃七斗が寄進された(「栄三寄進状」同文書)。栄三は初代蛇ヶ崎城主及川広次の妻で道光の祖母にあたる(寺蔵回向帖)


華蔵寺
けぞうじ

[現在地名]結城市結城 塔の下

覚城山と号し臨済宗妙心寺派。本尊釈迦如来。開山は復庵宗己、開基檀越は結城直光。貞治六年(一三六七)直光は大殿を建立し、宗己と同派の大拙祖能を招いて落慶法要を行っている(大拙和尚年譜)。この大殿の完成によって寺としての形を整えたのであろう。応永二年(一三九五)直光は子の基光とともに梵鐘を造進している(下総旧事考)が、この梵鐘は慶長年間(一五九六―一六一五)に現埼玉県鴻巣市の浄土宗勝願寺に移された(新編武蔵国風土記稿)


華蔵寺
はなくらじ

[現在地名]多伎町久村 花蔵

国道九号より南へ一キロ入った山中にあり、大円山と号し、天台宗。本尊大日如来。「けぞうじ」ともいう。天平年間(七二九―七四九)行基の開基と伝える。聖武天皇の勅願所で、三刀屋みとや(現三刀屋町)みね寺、横田よこた(現横田町)岩屋いわや寺、宍道(現宍道町)岩屋寺などとともに出雲における蔵王信仰の拠点であった。また天正一九年(一五九一)一一月二四日の勝屋村秀宛行状写や文禄四年(一五九五)一〇月二一日の華蔵寺領坪付写(いずれも華蔵寺文書)によれば、「湯屋本」「湯屋谷」なる地名がみえ、当地が早い時期からすでに温泉として利用されていたと推定できる。現在も華蔵温泉があるが、これは大正初期に発見されたと伝える。


華蔵寺
けぞうじ

[現在地名]吉良町岡山 山王山

岡山おかやまの北に連なる山王さんのう山の高い石段を登ると本堂が建ち、吉良家の香華所で左手に吉良家の墓所、その後の小高いところに御影堂がある。片岡山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊釈迦牟尼仏。近世の寺領四八石。

天文年間(一五三二―五五)東条とうじよう城主吉良持広の建立にかかり、初め金星山華蔵寺という。吉良氏は西条吉良氏が鎌倉時代から西尾実相じつそう(現西尾市)菩提寺としたが、東条吉良氏は南北朝争乱期に尊義が花岳かがく寺を菩提寺とした。近世に至り、旗本吉良氏から華蔵寺を菩提寺とし、徳川家光の時代に朱印を得た。

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デジタル大辞泉プラス 「華蔵寺」の解説

華蔵(けぞう)寺

愛知県西尾市吉良町にある臨済宗妙心寺派の寺院。山号は片岡(へんこう)山、本尊は釈迦牟尼仏。高家吉良家の菩提寺で、元禄赤穂事件で知られる吉良上野介などの墓がある。

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