面子(読み)めんつ(英語表記)mientzu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「面子」の解説

面子
めんつ
mientzu

中国語をそのまま使用したもので,日本語としては面目体面ともいい,世間に対する体裁を意味する。古い中国の社会では外面的な態度や行動がその人の価値を決定し,世間体他人のおもわくが人の態度,行動を制約した。日本でも封建社会では身分制がきびしく,武士はその体面をけがさないように行動した。「面子を立てる」とか「体面をつくろう」という場合,その実がないのに表面だけをつくろって威厳を保つ態度,行動を意味している。こうした外面性,形式性に偏したいわば悪い面ばかりでなく,自己の面子を保ちながら他人の面子も重んじることにより,人間同士の交際に洗練と優雅をもたらす面もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

精選版 日本国語大辞典「面子」の解説

めん‐こ【面子】

〘名〙
① 子どもの玩具。鉛、土、ガラスなどで作った銭形のもので、片面は恵比須、大黒、鬼、狐などの仮面をかたどったもの。おはじきなどに用いた。面形(めんがた)
ボール紙で作った円形または四角形の玩具。表面にいろいろなが書いてあり、鉛製のものもある。また、それを使ってする遊び。交互に相手の地上に置いたものに打ち当てて、裏返らせたり、その下に自分のを入れたりするのを勝ちとする。
※当世少年気質(1892)〈巖谷小波〉八「ナニこれが独楽(こま)や面子(メンコ)を買ふんでは無し」

メン‐ツ【面子】

〘名〙 (中国語から)
① 体面。面目。
子(1938‐40)〈獅子文六〉一五「信子の面子(メンツ)にかけても、打棄(うっちゃ)って置けない」
② マージャンを行なうのに必要な人。また、一般にある集まりの参加者。「メンツがそろう」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉「面子」の解説

メンツ【面子】

《〈中国語〉》
体面。面目。「面子を立てる」「面子がつぶれる」「面子にかかわる」
マージャンを行うためのメンバー。転じて、会合などの顔ぶれ。「面子がそろう」
マージャンで、3個でひと揃いとなるパイの組み合わせのこと。4つの面子と1つの雀頭ジャントウで、上がりの形となる。
[類語](1面目名誉名聞めいぶん体面一分いちぶん沽券こけん声価信用信望しん信頼信任人望定評評判暖簾のれん覚え名望声望徳望人気魅力受け

めん‐こ【面子】

円形または長方形で表面に絵や写真のあるボール紙製の玩具。二人以上で互いに自分のものを出し、地面にたたきつけ合って、風の力で他人のものを裏返すなどして勝負を競う。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版「面子」の解説

めんこ【面子】

おもちゃの一種。もとは粘土を焼いた直径3cmほどのもので,〈めんがた〉あるいは〈泥めんこ〉と呼ばれた。面,つまり人の顔やが面型でぬいてある。江戸時代につくられたもので,《嬉遊笑覧》には(かた)に土を入れてぬく〈面模〉と,芥子けし)面(指先ほどの小さな彩色した面)から発展した〈面打(めんうち)〉があると記されている。このころには穴一(あないち)やビー玉のような遊び方をしていたが,明治10年代に薄い鉛製のめんこが登場した。

メンツ【面子 miàn zi】

顔・体面などを意味する中国語。面子の〈子〉は,中国語において名詞につく接尾字。中国語がそのまま転用され日本語としても同じ意味で使われている。〈面〉とは顔ということであるが,顔は外面的容姿を象徴し,また別に〈面〉が向かうという意味をもつことから,〈面子を立てる〉などの表現にみられるごとく,個人および集団の外面的な対応形式・体裁という意味で使用される。ただそれは世間的評価を意識した外面的対応であり,内面的自覚に基づく名誉とは異なる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

普及版 字通「面子」の解説

【面子】めんつ・めんし

体面。

字通「面」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典内の面子の言及

【駄菓子屋】より

…駄菓子類とともに,番小屋商売からのなごりともいえる,ごく日常的な雑貨を置く店もあったが,商品はおおむね子どもたちの遊びのための必需品であった。めんこ,べいごま,ガラスのおはじきや石蹴り玉,ほかに夏は花火,冬はたこ(凧)や羽根を売っていた。〈あてもの〉というのは,小さな辻占のような紙片を巻きこんだものがいっぱい貼りつけてあり,金を払ってそれをむき,うまく当りが出ると元手のなん倍かの価のものがもらえるというものだった。…

【復讐】より

敵討(かたきうち)サンクション紛争【小田 亮】
[中国]
 一般的には,加害に対する自己防衛と怨憤をやわらげる心理的満足として行われるが,中国においては特有の復讐観が存する。名を重んずる中国民族は,現実肯定の精神とあいまって同時代人からの称賛と令聞を尊び,それゆえ外面的対応としての〈面子(メンツ)〉をことのほか重視する。したがって対人関係で受けた恥は一命にも値し,屈辱は等量以上の返報によって埋め合わさなければ体面が保てない。…

※「面子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

敵に塩を送る

《戦国時代、上杉謙信が、敵将武田信玄の領国の甲斐が塩の不足に苦しんでいるのを知り、塩を送らせた故事から》敵の弱みにつけこまず、逆にその苦境から救う。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android