デジタル大辞泉
「訴」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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うったえうったへ【訴】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「うったえる(訴)」の連用形の名詞化 )
- ① 裁判を求めること。
- [初出の実例]「其愬(ウッタヘ)無レ不三一入二邪路一」(出典:太平記(14C後)一四)
- 「我れ固より原告が虚妄の訴訟(ウッタヘ)を知るものから」(出典:狐の裁判(1884)〈井上勤訳〉二)
- ② 不平、うらみなどを人に言うこと。また、そのうらみ、不平。
- [初出の実例]「闌干とは、涙の絶えやらぬを云ぞ。心に訴あるを以てなり」(出典:古文真宝前集抄(1642)九)
- 「迷亭は細君の訴(ウッタヘ)を聞いて大(おほい)に愉快な気色である」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三)
- ③ 物事のよしあしを判断し決着をつけること。
- [初出の実例]「清和天皇の御号を預る。これを現世の名聞、後世のうったへとも思ひける」(出典:義経記(室町中か)五)
- ④ 民事訴訟、行政訴訟で、ある者が他の者または行政庁を相手として、自分の主張が法律的にみて正しいことを、判決によって認めてもらうために、裁判所に審判を申し立てる行為。ふつう訴状を提出して行なう。これを提起する者を原告といい、相手方を被告という。
うたえうたへ【訴】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「うたう(訴)」の連用形の名詞化で、「うったえ」の促音「っ」の無表記形 ) =うったえ(訴)
- [初出の実例]「五に曰く、餮(あぢはひのむさぼり)を絶ち欲(たからほしみ)することを棄てて明かに訴訟(ウタヘ)を弁(さだ)めよ」(出典:日本書紀(720)推古一二年正月(岩崎本訓))
うるたえうるたへ【訴】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「うるたう(訴)」の連用形の名詞化。「うったえ」の古形 ) 上司に申し出て正しいか否かの判断をしてもらうこと。訴訟。
- [初出の実例]「文視年の初に、正に大獄(ウルタヘ)多し」(出典:石山寺本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「訴」の読み・字形・画数・意味
訴
常用漢字 12画
(異体字)
14画
[字音] ソ
[字訓] うったえる
[説文解字]

[字形] 形声
声符は斥(そ)。斥の初文は
(さく)。ゆえに字はまた
に作る。〔説文〕三上に「
ぐるなり」とあり、上訴することをいう。告訴するので譖毀(しんき)の意を含む。〔論語、顔淵〕「膚受(ふじゆ)の
(うつた)へ」とは、かけこみ式の哀訴をいう。ただ訴訟のときには、
ではなく訴を用いる。
[訓義]
1. うったえる、さばきをもとめる。
2. つげる、そしる、不平をいう。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕訴 ウタヘ・タノシブ・タノシム・ネガフ・ヨロコブ/
ウタフ・ウタヘ・ウレフ・ムカフ・ホム・ノブ
[語系]
訴・泝sy
kは同声。流れに逆らって上るを泝といい、人意に逆らって告訴することを訴という。
[熟語]
訴
▶・訴怨▶・訴毀▶・訴告▶・訴詞▶・訴状▶・訴牒▶
[下接語]
哀訴・怨訴・
訴・応訴・往訴・起訴・泣訴・公訴・控訴・号訴・強訴・嗷訴・告訴・獄訴・讒訴・自訴・愁訴・訟訴・勝訴・上訴・譖訴・請訴・嘆訴・牒訴・追訴・通訴・提訴・敗訴・反訴・赴訴・密訴・免訴・面訴
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の訴の言及
【裁判】より
…他方,社会の一般構成員にとって裁判は重大な関心事であるので,政治権力が一般被支配者に,裁判をとおして自己の正当な利益の実現を図る権利や機会をどの程度認めるかということも,その支配体制の根本的性格を規定する特徴となる。一般に,西洋では伝統的に,慣習,契約,法令等の法的根拠に基づく利益主張を,一般人民が支配者の前で公然と行うことは当然とされ,支配者が公正な裁判によってそれを保護することは,支配体制の正当性を支える基本的な要請とされてきたのに対して,東洋では,革命前の中国や幕藩体制下の日本にも見られるように,〈権利〉の観念が否定され,人民の間の争いや裁判への訴えを極力抑え,裁判も明確な法的規準に従った厳然たる裁定よりも実質的観点(後述)から当事者間の和解を半ば強制する,調停的色彩の濃いものとなるところに支配体制の特徴があった。
【裁判の形態】
殺傷とか,姦通とか,取引による債務の不履行とかの,社会生活上絶えず発生する問題から生ずる法的争いは,原始時代以来さまざまの形で処理されてきた。…
※「訴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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