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語部 かたりべ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

語部
かたりべ

大和朝廷に仕え,旧辞,伝説などを語ることを司ったといわれる民。語部の職掌は,記憶,口誦によって歴史,神話などを伝承することにあり,「記紀」の神話なども語部の伝承をもとにしたものであるといわれていたが明確ではない。古くは宗教的儀式に神語,天語歌などを語ったが,のち宮廷の宴遊娯楽に語りごとを唱えるようになった。奈良時代以後,大嘗祭のとき,美濃,丹波,丹後,但馬,因幡,出雲,淡路から集められ,伴宿禰 (とものすくね) ,佐伯宿禰に率いられて古詞を奏した。『延喜式』には,左,右衛門がこれらの語部を集めて古詞を唱える練習をしたとある。

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デジタル大辞泉の解説

かたり‐べ【語部】

古代、古伝承を語り伝え、公式の場で奏した部。平安時代には践祚(せんそ)大嘗祭(だいじょうさい)のとき、美濃丹波丹後但馬(たじま)因幡(いなば)出雲淡路の7か国から召されて古詞を奏した。かたらいべ。
ある物事を後の代に語り伝える人。「戦争の語部

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大辞林 第三版の解説

かたりべ【語部】

古代、古伝承を儀式の際に語ることを職掌とした部民。
転じて、自ら体験・伝聞したことを後世に語り継ぐ人。 「沖縄戦の-」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

語部
かたりべ

古代の職業部の一つ。古伝承を語り伝えて宮廷の儀式で奏上した。『延喜式(えんぎしき)』によると、践祚大嘗祭(せんそだいじょうさい)に、伴宿禰(とものすくね)、佐伯(さえき)宿禰は、美濃(みの)8人、丹波(たんば)2人、丹後(たんご)2人、但馬(たじま)7人、因幡(いなば)3人、出雲(いずも)4人、淡路(あわじ)2人の語部を率いて参加し、語部の古詞(ふるごと)を奏した。「其(そ)の音、祝詞(のりと)に似たり」という古詞の内容は現在伝えられていないが、おそらく天皇霊の「死と再生」の始源の物語や、その継承の由来伝承であったと想像される。それが宮廷儀礼に取り入れられる以前の段階には、地方豪族の首長権継承にあたって、各地の聖水における御阿礼(みあれ)(神の誕生)や御贄(みにえ)貢進の寿詞(よごと)として、さまざまに伝えられたもので、その背景には新嘗(にいなめ)の神事が存在したようである。現在、確認される語部の分布が、東は遠江(とおとうみ)、美濃、西は出雲、備中(びっちゅう)の範囲を出ないので、案外早い時期に宮廷の儀礼に入れられたと考えられている。[井上辰雄]
『井上辰雄著『古代王権と語部』(1979・教育社)』

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