身代(読み)シンダイ

デジタル大辞泉 「身代」の意味・読み・例文・類語

しん‐だい【身代】

《「進退」から転じた語か》
1 一身に属する財産。資産。身上しんしょう。「身代を築く」「身代を持ち崩す」
2 暮らし向き。生計。身の上。
「―ぼろぼろになり、裏町のかなしきすまひ」〈ひとりね・上〉
3 身分。地位。
「村芝与十郎といへる舟改め、―は軽けれども」〈浮・伝来記・五〉
[類語]資産・財産・恒産・私財・財・家財・富・産・資財・財貨・貨財・私産・家産・身上しんしょう

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精選版 日本国語大辞典 「身代」の意味・読み・例文・類語

しん‐だい【身代】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「進退」の転じたものか。「身躰」「身袋」などとも書く )
  2. ① 個人、または一家が有する、すべての財産。その身が持つ土地・家屋・財宝その他の資産全部。全財産。身上(しんしょう)。
    1. [初出の実例]「金銀も有所には、瓦石のごとし。身袋(シンダイ)程高下の有物はなし」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)二)
  3. ② 財産を有している状態。個人または一家の財政状態。生計。暮らしむき。身上。
    1. [初出の実例]「われらが様なるやぶぐすしには、しんだいのよひものはみゃくをとらせもいたさぬ」(出典:虎明本狂言・神鳴(室町末‐近世初))
  4. ③ 財産・俸祿などを所有する立場。身分。地位。境遇。身上。
    1. [初出の実例]「貧賤はまた美麗をのぞき、身躰(シンダイ)の以来つづくべき思案をする。是を身の程を知たると云べし」(出典:仮名草子・身の鏡(1659)下)

身代の語誌

( 1 )現在、一般に「身代」の表記が用いられているが、この表記の定着は必ずしも古いものではなく、近世には「身袋」「身体」などの表記も見られる。
( 2 )語源とされている「進退」の字音は本来シンタイであるが、中世には連濁によって「シンダイ」と転じる。意味も、本来の進むことと退くこと、また立ち居振舞、自分の身の処し方などから、自分の思うままに土地や人間を扱うの意が派生し、そこから財産の意をも表わすようになる。表記としては、字義から身に属する財産を連想させる「身袋」「身体」「身代」などが使用されるようになったものか。
( 3 )「和英語林集成(初版)」以下明治時代の辞書類では、見出しに「身代」の字を当てるものが多く、これが現在に続いている。


み‐の‐しろ【身代】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 人身売買の代金。身を売った代金。みのしろきん。
    1. [初出の実例]「右、対二捍有レ限所当公事一之時、為レ令レ致二其辨一、令レ取二身代一之条定法也」(出典:近衛家本式目追加条々‐建長五年(1253)一〇月一日)
  3. ② 人質。
    1. [初出の実例]「為二身代一令レ取二女壱人一畢」(出典:相良家文書‐建長元年(1249)七月一三日・関東下知状)
  4. ③ 人と引きかえに受け渡す金品。
  5. ④ 給金。
    1. [初出の実例]「『それ、当座の身の代(しロ)』と切手を放る」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「身代」の意味・わかりやすい解説

身代 (しんだい)

〈みのしろ〉ともいう。鎌倉時代,借銭や借米の質となり,年貢や公事の未進の代償となった人をいう。身代として流されたり,とられたりした人間は下人(げにん)となり代価分だけ一定期間使役されたが,ときには相伝の下人と同様に一生使役されることもあった。いわば債務奴隷となるのである。その源流を尋ねると,律令制下において出挙(すいこ)の未進に際し,人身の労役によって返済させたことがあげられる。また平安時代には官物年貢の未進があると,〈召籠め〉といって人身が拘束されたことがある。この二つの慣習が相互に影響しあい,貸借や年貢の支払において人身をもってこれにあてる慣習が生じたのであろう。そうした慣習を促したのは,下人労働力への需要と,人身を抵当にいれても借銭・借米をしなければならないという飢饉や戦乱等の社会不安とであった。こうして人身が質や代価として扱われると,地域ごとに相場が生まれ,それは飢饉や戦乱がおきると上下した。また労働力の需要にあわせて,人身売買も盛行してくる。それにつれて身代は人身売買の代金としての意味をもつようになった。次に江戸時代になると身代の語は〈しんだい〉と呼んで〈みのしろ〉とは区別されて使われる場合が多く,その〈しんだい〉は身に帯びる財産をさし,鎌倉時代に使われた所帯の語に近い。鎌倉時代においては所帯が無いときに身代をもって代価にあてることが行われたのであるが,この身代が所帯をも包含して成立したのが江戸時代の身代といえるであろう。現在使われている身代は,〈しんだい〉と読めば江戸時代的な用法を意味し,〈みのしろ〉と読めば中世以来の人質にかかわる用法となる。
→身代(みのしろ)
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身代 (みのしろ)

(1)債務の担保として質物とされた人。たとえば,1253年(建長5)の鎌倉幕府の追加法は,〈土民の身代を取り流す事〉として,土民(百姓)が年貢公事を拒否するとき,これを強制するため〈身代〉をとることは定法であるが,わずかの未進でこの身代(人質)を流すことを禁じている。(2)人身売買の代価をいう。御伽草子や謡曲など室町時代の文学には人売買に関する哀話が少なくないが,これらのなかに身を売った代金として〈身代〉の語がみられる。中世から近世にかけて,人の永代売や年季売の代価,あるいは人を質置にしたときの借金が身代と呼ばれた。江戸幕府は人の永代売を禁止し,年季売や質置は年季奉公に形を変えてくるが,遊女や飯盛女などの年季奉公は人身売買の実質をとどめており,奉公のさいの前渡し給金(前借金)はふつう〈身代金〉と呼ばれた。江戸幕府は,身代金に関する訴訟は本公事(ほんくじ)とし,主人の側の利益を保護した。
→人身売買
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普及版 字通 「身代」の読み・字形・画数・意味

【身代】しんだい

からだ。

字通「身」の項目を見る。

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世界大百科事典(旧版)内の身代の言及

【身代】より

…鎌倉時代,借銭や借米の質となり,年貢や公事の未進の代償となった人をいう。身代として流されたり,とられたりした人間は下人(げにん)となり代価分だけ一定期間使役されたが,ときには相伝の下人と同様に一生使役されることもあった。いわば債務奴隷となるのである。…

※「身代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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