遠流(読み)おんる

精選版 日本国語大辞典 「遠流」の意味・読み・例文・類語

おん‐る ヲン‥【遠流】

〘名〙 律令制に定める流罪(るざい)うち最も重いもの。中流(ちゅうる)近流(こんる)に比べて京からの距離が遠い。延喜式では伊豆安房常陸佐渡隠岐土佐等の国がその地とされているが、必ずしもこの六国に限られていなかった。→遠島(おんとう)
続日本紀‐天平勝宝六年(754)一一月甲申「下所司推勘、罪合遠流
平家(13C前)二「死罪一等を減じて遠流せらるべしと見えて候へども」 〔魏書‐源懐伝〕

えん‐る ヱン‥【遠流】

〘名〙 罪人遠方の地に流すこと。島流し。おんる。
浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)一「上へ讒(さかしら)を以てあしざまに申上遠流(ヱンル)せらるるか」

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デジタル大辞泉 「遠流」の意味・読み・例文・類語

おん‐る〔ヲン‐〕【遠流】

古代に定めた三流さんるの一。流罪るざいのうち最も重いもの。平安時代には、伊豆安房あわ常陸ひたち佐渡隠岐おき土佐など、都を遠く離れた土地に流した。えんる。→近流こんる中流ちゅうる

えん‐る〔ヱン‐〕【遠流】

おんる(遠流)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「遠流」の意味・わかりやすい解説

遠流
おんる

律令制における刑の一種。中国法の「流三千里」の制度を継受したもの。その配所は,神亀1 (724) 年の格によって,伊豆,安房,常陸,佐渡,隠岐,土佐の6国と定められている。遠流の実例奈良,平安時代を通じて少くなく,特に平安期以降,死刑囚をすべて遠流に減刑する慣行が生じたために,その数が著しく増大している。鎌倉期にいたって,遠流は朝廷法,武家法の双方に採用され,その配流地には夷島などが加えられた。武家法においては,この刑は,「所帯なき」武士に,所領没収に代えて科されるものであって,この点に式目系の法の特徴が見出される。戦国期以降,継受法である遠流は,その姿を消し,代って固有法系に属する遠島が行われるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「遠流」の意味・わかりやすい解説

遠流
おんる

古代の律(りつ)に定める流刑(るけい)のうち、もっとも重いもの。中流(ちゅうる)・近流(こんる)に比し京からの距離がもっとも遠く、『延喜式(えんぎしき)』では伊豆、安房(あわ)、常陸(ひたち)、佐渡、隠岐(おき)、土佐などが刑地とされた。

[編集部]

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普及版 字通 「遠流」の読み・字形・画数・意味

【遠流】えんりゆう・おんる

遠く流す。

字通「遠」の項目を見る

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