真言宗醍醐派、東光山と号する。本尊木造薬師如来(国指定重要文化財)は俗に日野薬師または乳薬師といわれる。
〈京都・山城寺院神社大事典〉
「醍醐雑事記」に山城醍醐寺と法界寺との寺領争いについて、「当寺領南堺与法界寺領北堺聊有論、五条中納言藤原邦綱買領堂敷地之故也、法界寺敷地者浄妙寺領也、日野本願資業三位始被建立件之寺之時、二町申請宇治殿、所被立也」とあり、邦綱が堂のため買収した領地は法界寺領ではないことを主張したもので、資業が
資業は家宗より五代の孫、有国の子で文章博士となり、「雍州府志」に記すように群書を集めて文庫を日野につくり、「法界寺文庫」の朱印を押したと伝える。現在この蔵書は遺存しない。彼は後一条天皇の侍読となり、その歌は「後撰集」にみえ、「今鏡」には鷹司家の屏風に彼の詩が数多く書かれていたことが記される。
福島川河口近くの右岸にある浄土宗寺院。観念山と号し、本尊阿弥陀如来。一説に寛永七年(一六三〇)草創(宝暦一一年「御巡見使応答申合書」)、「渡島国地誌提要」は同年鉄荘の開基とする。一説に鉄荘を開山に永禄七年(一五六四)創建という(「北海道志」巻一〇)。また一説には、明応年中(一四九二―一五〇一)
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
京都市伏見(ふしみ)区醍醐日野(だいごひの)西大道町にある真言(しんごん)宗醍醐派の別格本山。東光山(とうこうざん)と号する。通称「日野薬師(ひのやくし)」。1051年(永承6)日野資業(すけなり)の本願によって創建され、もとは天台宗であった。代々、日野一族門葉が資財をなげうって堂塔を整えたので、伽藍(がらん)の威容は荘厳美麗を極めていたが、室町末期に応仁(おうにん)の乱の兵火にかかって焼失し、現在は薬師堂(本堂、国重文)と阿弥陀(あみだ)堂(国宝)の二宇が残る。本堂は天正(てんしょう)年間(1573~92)に炎上し、現存の薬師堂は1904年(明治37)奈良県竜田の伝燈寺の灌頂(かんじょう)堂を移築した1456年(康正2)の古建築である。堂内には国重文指定の本尊薬師如来(にょらい)像(伝、伝教(でんぎょう)大師作)と、脇侍(きょうじ)の日光・月光菩薩(ぼさつ)像、十二神将像(伝、運慶(うんけい)作)を安置する。この本尊に祈願すると授乳の霊験あらたかであるといわれ、昔から多くの人々に信仰され、「乳(ちち)薬師」ともいわれてきた。阿弥陀堂は平安時代に宇治の平等院鳳凰堂(ほうおうどう)と相前後して建てられたといわれてきたが、建築、壁画などから、今日では鎌倉初期の1226年(嘉禄2)造営と推測され、定朝(じょうちょう)作と伝える丈六の阿弥陀如来坐像(ざぞう)(国宝)を安置している。また、内陣長押(なげし)上部の漆喰(しっくい)壁に描かれた飛天図など23面の壁画(国宝)は絵画史上貴重なもの。1月14日に行われる修正会(しゅしょうえ)の裸踊りは有名。
[野村全宏]
『『古寺巡礼 京都29 法界寺』(1979・淡交社)』
京都市伏見区にある真言宗醍醐派の寺。山号は東光山。日野薬師,乳薬師ともいわれる。1051年(永承6)日野資業が現地にあった山荘を寺に改め,薬師堂を建て,その堂内に,日野家伝来の最澄作と伝える薬師如来の小像を胎内に納めた薬師仏を安置したのにはじまるという。以来日野家の氏寺として一族が堂舎を造立,盛観を極めた。だが中世には幾度か炎上し,平安期の建物では平等院鳳凰堂とともに浄土教芸術の白眉とされる阿弥陀堂(国宝)が,唯一災禍を免れた。同堂の本尊阿弥陀如来座像(国宝)も定朝(じようちよう)様の丈六仏として名高い。親鸞が日野家の出身だったことから,江戸後期,宗祖生誕の地として本願寺が当寺の復興に努め,文化年間(1804-18)西本願寺文如はこの地に日野別堂を建立,真宗門徒の聖跡とした。なお年中行事として,毎年正月7日から1週間行われる修正会の結願の夜の裸踊がある。裸体でもみ合う人たちに,健康の護符として牛王宝印の札がまかれ,境内は参詣者でにぎわう。
執筆者:藤井 学
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「ほっかいじ」とも。京都市伏見区にある真言宗醍醐派の寺。東光山と号す。通称は日野薬師・乳薬師。開創は未詳。1051年(永承6)日野資業(すけなり)がこの地に隠棲してから,日野氏の保護のもとに伽藍が整備された。現存する国宝の阿弥陀堂もその頃の建立か。応仁と天正の兵火で諸堂を焼失したが,宗祖親鸞誕生の地として本願寺の支援をうけ,江戸時代に再興された。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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