鉄砲水(読み)テッポウミズ

デジタル大辞泉 「鉄砲水」の意味・読み・例文・類語

てっぽう‐みず〔テツパウみづ〕【鉄砲水】

山崩れせき止められた水や、集中豪雨による増水などが、一時に激しく流れ下るもの。
[類語]大水氾濫洪水出水増水冠水浸水水没水害

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精選版 日本国語大辞典 「鉄砲水」の意味・読み・例文・類語

てっぽう‐みずテッパウみづ【鉄砲水】

  1. 〘 名詞 〙 山地での集中豪雨などのため、水流が堰(せき)を切ったように激しくおしよせること。山津波同義語として使われる場合も多い。
    1. [初出の実例]「それがまた地震や増水によって鉄砲水となって奔流し」(出典:日本沈没(1973)〈小松左京〉六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄砲水」の意味・わかりやすい解説

鉄砲水
てっぽうみず

非常に急激な出水。豪雨時における山地部の出水は非常に急激で、しばしば鉄砲水の形態をとる。鉄砲水の発生は、山崩れなどでつくられた、谷をせき止めていた天然ダムが決壊し、貯留されていた水が一時に流出するような現象に起因する場合が多い。また、岩の露出した山岳地域に集中豪雨が降ることに起因する場合も考えられる。

 豪雨時にみられる土石流は同じく急激な流出であるが、土石の濃度が非常に高く、水分の割合の多い鉄砲水とは区別される。半乾燥の気候では、山地に降った雨が急激に流出することがあり、フラッシュフラッドflash floodとよばれる。

[芦田和男・水山高久]

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改訂新版 世界大百科事典 「鉄砲水」の意味・わかりやすい解説

鉄砲水 (てっぽうみず)

日本は急傾斜の谷川が多い。また集中豪雨をはじめ,雷雨でも短時間に強い雨が降ることが多い。このようなときには谷川の水位があっという間に何mも増え,水流が堰(せき)を切ったように押し寄せることがある。これを鉄砲水という。かつて川を利用して木材を運び出すのに,川の中流を一時せき止めて切った木材を浮かべ,堰を切って木材を下流まで一挙に押し流す運材法があった。これを〈鉄砲流し〉,堰を〈鉄砲堰〉といったのが鉄砲水の語源である。春先の融雪時や集中豪雨の際,発生した山崩れ土砂が一時谷川の水をせき止め,それがふたたびくずれて大量の水を含む土石流となって山麓の耕地や家屋を押し流すこともある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉄砲水」の意味・わかりやすい解説

鉄砲水
てっぽうみず

異常降雨によって起こる急激な出水。「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)では土石流一種に区分される。山地がちの日本では河川は一般に急流で,しかも異常な集中豪雨に見舞われることがあるので,鉄砲水が発生しやすい。明治以後,近代的な工法を取り入れた河川改修で河道の直線化をはかった結果,かえって鉄砲水を引き起こし,また人口の密集化が被害を大きくしている。水源涵養林の確保,植林,砂防,自然の特性をいかした工法の採用などが,鉄砲水を防止する重要な対策である。

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百科事典マイペディア 「鉄砲水」の意味・わかりやすい解説

鉄砲水【てっぽうみず】

山崩れでせき止められた山間部の急流の水や,集中豪雨による増水が一時に流れ下ること。土砂・岩石・流木を巻きこみ,下流地域に大きな災害をもたらす。この名称は,谷川をせき止め木材を浮かべ増水とともに堰(せき)を切って流し落とした〈鉄砲流し〉と呼ぶ木材運搬方法から出た。→土石流

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とっさの日本語便利帳 「鉄砲水」の解説

鉄砲水

土砂や岩石が多量の水と共に“かゆ”状になって谷や渓流を流れ落ちる現象。出水が急激で、破壊力がある。土石流、山津波ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の鉄砲水の言及

【土石流】より

山崩れや岩屑なだれが途中から土石流に移行したり,土石流が泥流に変わることもある。慣用語で山津波とよばれているものの大半と,鉄砲水といわれるものの一部もこれではないかとみられる。 土石流の大半は,豪雨によって谷頭部に起こった崩壊によってもたらされる土砂や岩塊がそのまま水とともに流下したり,崩壊した岩屑が流れをせき止めた後,それが一気に決壊して異常な洪水流とともに流下したり,谷床の堆積物が急激な出水で一斉に動き出すような形で発生する。…

※「鉄砲水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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