日本大百科全書(ニッポニカ) 「長岡京(市)」の意味・わかりやすい解説
長岡京(市)
ながおかきょう
京都府南西部、京都盆地の西部に位置する市。西部は大阪府に接する。1949年(昭和24)乙訓(おとくに)郡新神足(しんこうたり)、海印寺(かいいんじ)、乙訓の3村が合併、町制施行して長岡町となり、1972年市制施行、長岡京市と改称。西部は標高200~400メートルの西山(にしやま)山地が占め、山麓(さんろく)には長岡丘陵とよばれる洪積層の台地が広がる。東部は桂(かつら)川と支流の小畑(おばた)川の沖積平野が開け、京都と大阪との回廊地帯にあたり、JR東海道本線、阪急電鉄京都線、国道171号などが通じるほか、東海道新幹線、名神高速道路も走る。
平安京遷都前の784年(延暦3)から10年間、長岡京が置かれたが、長岡宮跡(国史跡)は北の向日(むこう)市にある。市域には恵解山(いげのやま)古墳(国史跡)など古墳が多い。奥海印寺に市立埋蔵文化財センターがあり、埋蔵品の一部が公開されている。近郊野菜の栽培が盛んで、ことに長岡丘陵はタケノコの産地として知られるが、交通の便がよいため、近年は住宅地や工場の進出が著しく、市街化が進んでいる。名所としてはツツジの長岡天満宮、モミジの光明寺、ボタンの乙訓寺や、西山の山中には柳谷観音(やなぎだにかんのん)とよばれる楊谷寺(ようこくじ)がある。面積19.17平方キロメートル、人口8万0608(2020)。
[織田武雄]
『『長岡町二千年』(1970・長岡町)』▽『『長岡京市史』全7巻(1991~1997・長岡京市)』