開元の治(読み)カイゲンノチ

百科事典マイペディアの解説

中国,唐朝の第6代玄宗(在位712年―756年)の治世前半にあたる開元年間(713年―741年)の政治の安定ぶりをさす言葉。玄宗は,高宗の皇后武氏(則天武后)と中宗の皇后韋氏(韋后)が政権を壟断した〈武韋の〉の時期(690年―710年)を経て即位した。宇文融らの名臣を用い,有力者による土地兼併などによる均田法崩壊に対処するための諸政策や,府兵制(徴兵制)に代わる募兵制の採用,辺境における節度使の任命など,唐初の律令体制を再建することに努めた。このため首都長安の人口は100万人を超え,西方からの商人も集まって一大国際都市となり,李白,杜甫ら唐代を代表する詩人も活躍して文化史上の盛唐をうたわれるなど,唐の全盛期を現出した。
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世界大百科事典 第2版の解説

開元は中国唐の玄宗時代の年号(713‐741)。このとき唐朝は安定と繁栄を見たので,〈開元の治〉といい,太宗の〈貞観(じようがん)の治〉に擬せられる。玄宗李隆基は2度にわたるクーデタによって韋后太平公主(則天武后の娘)の勢力を一掃し,712年(先天1)帝位についた。以後姚崇宋璟らの名臣を用いて政権の公的性格を回復することにつとめた。則天武后の革命は貴族政治の因循さを打破して能力主義の政治を切り開くことに寄与したが,それは一方で皇后,公主,外戚寵臣などの側近勢力を通じて行われたので,政権の私物化を伴った。

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大辞林 第三版の解説

中国、唐の玄宗の前半の治世。則天武后以来の混乱を克服、官紀を粛正し諸制度を改革して、唐朝の支配を再建した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中国、唐の第6代玄宗の治世前半29年間(713~741)、開元の年号をもつ時代を、よく治まった理想的時期とみなしてこうよぶ。則天武后以来の女人政治の弊害を一掃した玄宗は、姚崇(ようすう)、宋(そうえい)らの賢相に補佐され、官紀の粛正と財政緊縮に努め、人民の負担軽減を図った。比較的内外の平和に恵まれ国威もあがり、盛世をうたわれたが、目に見えぬ社会の変質が進行し、税制、兵制など国制の改革を余儀なくされた。[池田 温]

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

唐の第6代皇帝玄宗の治世前半の善政(713〜741)
玄宗は,武韋 (ぶい) の禍の後をうけ,712年の即位後,姚崇 (ようすう) ・宋璟 (そうえい) ・宇文融 (うぶんゆう) らの名臣を用い,ぜいたくの禁止,均田制崩壊に対処するための括戸政策,府兵制に代わる募兵制の採用,10節度使による辺境防備などの政策をつぎつぎに展開し,最盛期を現出した。都長安は,陸海貿易路からソグド人・アラビア人商人が渡来して100万の人口を擁し,国際都市として繁栄した。文化的にも李白・杜甫らの詩人が活躍した。

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世界大百科事典内の開元の治の言及

【玄宗】より

…712年(先天1)28歳で即位した玄宗は,対立する太平公主らを倒し年号を開元と改めると,姚崇,宋璟ら有能な人材を任用し,官界の粛清をはじめ内政刷新に着手した。721年(開元9),宇文融に行わせた括戸政策や土地兼併の処理,さらに地方行政制度の改革,府兵制にかわる募兵制の採用など,その積極策にはみるべきものが多く,極力外征をおさえつつ富国強兵につとめたかいあって,世に開元の治あるいは〈開元・天宝時代〉と称される華やかな時代を現出し,長安の都は繁栄の極に達した。 この盛世はしかし,新しい時代の到来という現実に対処しながらも,崩れゆく貴族社会への回帰,立て直しを志向する矛盾に満ちた政策,悪くいえば姑息な策を弄してバランスを保ったつかの間の輝きであったともいえる。…

【唐】より

…それは羈縻関係よりもゆるやかな関係であるが,唐への朝貢の義務を負う臣属関係なのである。
[武周革命と開元の治]
 高宗は,在位6年目の655年(永徽6),高句麗討伐を再開したまさにその年の10月に,皇后の王氏を廃して昭儀の武氏を皇后に冊立する詔を出し,ここに則天武后の政権掌握への道が開かれた。武氏が皇后になったということは,南北朝時代以来の貴族社会の変質過程において画期的な意味をもつものであった。…

※「開元の治」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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