雁坂峠(読み)カリサカトウゲ

デジタル大辞泉 「雁坂峠」の意味・読み・例文・類語

かりさか‐とうげ〔‐たうげ〕【雁坂峠】

埼玉・山梨県境にある峠。標高2082メートル。秩父盆地甲府盆地を結び、峠道は秩父往還または甲州裏街道とよばれ、江戸時代に多く利用された。

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日本歴史地名大系 「雁坂峠」の解説

雁坂峠
かりさかとうげ

三富村と埼玉県秩父ちちぶ大滝おおたき村との境にある峠。標高二〇八二メートル。北アルプスはり峠・南アルプス三伏さんぷく峠とともに日本三大峠の一つとされ、峠は北西部の標高二二八九・二メートルの雁坂嶺と南部の標高二一五八メートルの水晶すいしよう山との稜線の鞍部にあり、埼玉県側に雁坂小屋がある。山梨県側の流れは笛吹(久渡沢)、埼玉県側はあら(滝川)に入る分水界で、秩父多摩国立公園に含まれる。「甲斐国志」は雁坂の名称について「古時罪人ヲ此ヨリ追放」したので駆逐の意から雁の字を訓が近い駆に変えたという説と、地形は「此ノ所高山ノたわミナレバ」雁が山越えをする地点からという口碑を載せている。また鬼門関ともよばれるのは甲斐国の中央から丑寅の方角にあたるゆえといわれた。


雁坂峠
かりさかとうげ

大滝と山梨県東山梨郡三富みとみ村との境にある標高二〇八二メートルの峠。奥秩父の山塊を越える峠で、県内では最も高い標高をもつ。しかし、古くから武州―甲州を結ぶ主要道として大きな役割を担っていた。江戸時代、秩父甲州往還が当峠を越えていたが、同往還は秩父側では甲州街道とか甲州往還、甲州側では秩父往還とよばれていた。三峰神社の縁起によれば、日本武尊が当峠路を越えようとしたところ道に迷い、白い狼が現れて、現在の三峰神社の鎮座する地まで導いてくれたという。

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百科事典マイペディア 「雁坂峠」の意味・わかりやすい解説

雁坂峠【かりさかとうげ】

埼玉・山梨県境にある秩父山地中の峠。標高2082m。秩父盆地甲府盆地を結ぶ秩父往還が通じ,道中第一の難所であった。1582年の徳川家康書状に刈坂口とみえる。江戸時代には口留番所が置かれたが,秩父札所巡りや三峰講の巡礼路となっていた。秩父多摩甲斐国立公園に属し,埼玉側は原始林,山梨側はお花畑で,富士山大菩薩峠展望が雄大。国道140号雁坂トンネル(6625m。一般国道の山岳トンネルでは日本最長)が1998年春に開通

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雁坂峠」の意味・わかりやすい解説

雁坂峠
かりさかとうげ

山梨・埼玉両県の境界、秩父(ちちぶ)山地の主脈上の雁坂嶺(2289メートル)と、水晶山(2158メートル)の鞍部(あんぶ)付近の峠。標高2082メートル。山梨県の笛吹(ふえふき)川の上流広瀬ダムの北方、久渡(くど)沢から登り、秩父側の栃本(とちもと)とを結ぶ、甲斐(かい)と秩父との連絡上(秩父往還)きわめて重要な地であった。このため古代から利用され、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征に際し通過したとも伝えられ、徳川氏の関東入府の際、栃本の関所役人を命じられた武田氏の遺臣もここを越えている。峠下を国道140号の雁坂トンネル(全長6625メートル)が通じているが、トンネル開通までの車道は山麓までで、車による往来はできなかった。現在も、峠は登山者の領域である。針ノ木峠、夏沢峠とともに日本三峠の一つに数えられるこの峠は、雁坂嶺などの森林帯と対象的に明るい茅戸(かやと)であり南面からの南アルプスの眺望もすばらしい。登山には山梨県山梨市三富(みとみ)川浦の新地平(しんちだいら)口と、埼玉県秩父市の川又口がある。

[吉村 稔]

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改訂新版 世界大百科事典 「雁坂峠」の意味・わかりやすい解説

雁坂峠 (かりさかとうげ)

埼玉県秩父市の旧大滝村と山梨県山梨市の旧三富(みとみ)村の境界,秩父山地北西部の峠。標高2082m。秩父盆地と甲府盆地を結ぶ峠で,秩父側は荒川とその支流沿いに,甲州側は笛吹川沿いに道があり,秩父往還または甲州裏街道として江戸時代にはかなりの交通量があった。峠で秩父山地の縦走路と交差し,峠付近には雁坂小屋がある。1998年春,国道140号雁坂トンネル(6625m。一般国道の山岳トンネルとして日本最長)が開通した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雁坂峠」の意味・わかりやすい解説

雁坂峠
かりさかとうげ

山梨県北部,山梨市と埼玉県秩父市の境にある峠。標高 2082m。甲府盆地秩父盆地を結ぶ秩父往還が通り,明治中期までは交通も多く,秩父の繭を塩山の市場へ運ぶ通路として利用された。峠道の面影を残し,眺望もよいため,現在は登山コースとなっている。峠の下を国道 140号線が通り,1998年トンネルが開通。

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事典・日本の観光資源 「雁坂峠」の解説

雁坂峠

(埼玉県秩父市・山梨県山梨市)
日本三大峠」指定の観光名所。

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