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鷺の作り物を身につけて舞う風流(ふりゆう)の芸能の一つ。歴史的には京都八坂神社の祇園会(ぎおんえ)でおこなわれたものが古く,島根県鹿足(かのあし)郡津和野町の弥栄(やさか)神社で7月20~27日の祇園祭に演じられるものは,室町時代に都の文化を領国へ吸収することに専念していた大内氏が京都の祇園会をそっくり山口に移したのを伝えたのが起源という。その舞は,鷺の頭(かしら)をかぶり,板を連ねて作った羽を肩につけた舞人2人が,〈橋の上におりた 鳥はなに鳥……〉という歌と,笛・太鼓・鼓(つづみ)・鉦(かね)の囃子に合わせて,手足を動かして鷺が舞うさまを示す。他に羯鼓(かつこ)を打ちつつ舞う者が2人,棒振り2人がつく。京都市の八坂神社の祇園祭でも復興されたほか,山口市の八坂神社などでも行われている。
執筆者:吉川 周平
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鷺の作り物を身に着けて舞う芸能。島根県鹿足(かのあし)郡津和野(つわの)町弥栄(やさか)神社の祇園(ぎおん)祭に行われる鷺舞は、7月20日と27日の両日、神輿(みこし)に供奉(ぐぶ)して神社・御旅所(おたびしょ)・頭屋(とうや)などへ練り込んで舞う。雌雄の鷺・棒振(ぼうふり)・羯鼓(かっこ)各2人の舞方と、笛・鼓・鉦(かね)・太鼓の囃子(はやし)方8人、それに歌い手大ぜいが出る。「橋の上に降りた鳥は何鳥 かわささぎのかわささぎのャァかわささぎの 鷺が橋を渡した鷺が橋を渡した 時雨(しぐれ)の雨にぬれ通り 通り」という歌にあわせて翼(つばさ)を開く所作を繰り返して舞う。同日、山口市八坂(やさか)神社の祇園祭でも若干異なった鷺舞が舞われる。この鷺舞はもと京都の祇園祭に出た練り物で、室町時代に長州の守護大内氏によって山口に伝わり、さらに1542年(天文11)に当時の津和野城主吉見(よしみ)氏によって山口から津和野へ移入された。津和野ではその後中絶していたのを1644年(正保1)に京都から直接伝えて復活した。京都八坂神社の鷺舞は津和野から伝えて近年復活したものである。
[渡辺伸夫]
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…津和野駅北方の乙女峠にあるマリア聖堂は,1868年(明治1)から73年まで明治新政府によって配流・迫害された長崎浦上のキリシタンを記念して建てられたものである。また京都八坂神社を勧請(かんじよう)した弥栄(やさか)神社(祇園社)には鷺舞が伝わり,7月20日と27日の例祭に奉納される。【池田 善昭】
[津和野城下]
石見国南西端の津和野盆地の中心に位置する城下町。…
…囃子物は中踊として残り,囃子方も受け持つ。囃子物の姿は現在民俗芸能や狂言の中に残るが,島根県鹿足(かのあし)郡津和野町の鷺舞や,京都祇園祭の傘鉾などが著名である。風流踊【山路 興造】 狂言謡(きようげんうたい)として残る囃し物は,浮き立つような特殊なリズムをもったツヨ吟の謡である。…
…室町時代後期の風流踊を支えた層と,当時の能・狂言を享受した層とは共通で,風流踊の趣向には能の曲が転用され,その入破(いりは)(キリ)が踊りの中で演じられたことも多い。
[民俗芸能の風流]
京都の祇園会の山鉾,日立市神峰神社の〈日立の風流物〉に代表される作り物の風流はもとより,風流踊の系譜を引く太鼓踊・羯鼓踊(かつこおどり)・花踊・雨乞踊,囃子物の伝統である鷺舞などの動物仮装風流,胸に羯鼓をつけた一人立ちの獅子舞・鹿踊(ししおどり)をはじめ,念仏踊(踊念仏)や盆踊など,全国の民俗芸能には風流の精神を受け継いだ芸能が多い。民俗芸能を分類する場合,それらを一括して〈風流系芸能〉と称するが,その芸態は一様ではない。…
※「鷺舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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