私淑(読み)シシュク

デジタル大辞泉 「私淑」の意味・読み・例文・類語

し‐しゅく【私淑】

[名](スル)《「孟子」離婁下の「子はひそかにこれを人よりうけてよしとするなり」から》直接に教えは受けないが、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶこと。「私淑する小説家
[類語]尊敬敬う尊ぶ崇める仰ぐ敬する畏敬崇拝敬愛慕う敬慕敬仰景仰崇敬傾倒心酔心服敬服

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精選版 日本国語大辞典 「私淑」の意味・読み・例文・類語

し‐しゅく【私淑】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「私」はひそか、「淑」はよしとする意 ) 敬慕する人に直接教えを受けることはできないが、ひそかに尊敬し、模範として学ぶこと。教えを受けたことはないが、尊敬する人をひそかに師と仰ぐこと。
    1. [初出の実例]「私淑は孟子に出でて直に其人の弟子になることを得ず」(出典:訳文筌蹄初編(1714‐15)一)
    2. 「蘆花がトルストイに私淑してゐた乎否乎は知らぬが」(出典:読書放浪(1933)〈内田魯庵〉窓から眺める)
    3. [その他の文献]〔孟子‐離婁・下〕

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故事成語を知る辞典 「私淑」の解説

私淑

直接の教えは受けないが、ひそかにその人を先生だと考えて尊敬し、模範として学ぶこと。

[使用例] 兄が、ねてから私淑して居る二科会の幹部のN氏をも訪ねて見た。が、でも兄の消息は判らなかった[菊池寛真珠夫人|1920]

[由来] 「孟子ろう・下」に出て来る孟子のことばから。孟子は、孔子が亡くなってから一〇〇年以上後に生まれたので、孔子の直接の弟子にはなれませんでした。しかし、「われこれを人に私淑するなり(私はその教えを人づてに教わって尊敬しているのだ)」と述べて、孔子の流れを汲む学者がまだ生きている時代に生まれたことに、感謝しています。

[解説] 本来は、直接の面識はない相手に対して使うことばですが、最近では、面識はあるものの正式に教えを受けてはいない場合にも、用いられています。

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普及版 字通 「私淑」の読み・字形・画数・意味

【私淑】ししゆく

ひそかに慕い手本とする。〔孟子、離婁下〕吾(われ)は未だ孔子の徒爲(た)ることを得ざるなり。予(われ)は私(ひそ)かに(こ)れを人に淑(よ)くするなり。

字通「私」の項目を見る

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