仰ぐ(読み)アオグ

デジタル大辞泉 「仰ぐ」の意味・読み・例文・類語

あお・ぐ〔あふぐ〕【仰ぐ】

[動ガ五(四)]
上を向く。上方を見る。あおむく。「星空を―・ぐ」
尊敬する。敬う。「師と―・ぐ」
教え・援助などを求める。請う。「指示を―・ぐ」「助力を―・ぐ」
あおむいてひと息に飲む。あおる。「毒を―・ぐ」
[可能]あおげる
[類語](1仰視仰望仰ぎ見る振り仰ぐ見上げる/(2敬う尊ぶ崇める敬する畏敬崇拝敬愛慕う敬慕敬仰景仰崇敬私淑傾倒心酔心服敬服尊敬/(3頼む願う求める要求要望要請請求注文迫る請う懇請懇望こんもうする所望ちょうする催告せがむせびるねだる強要強請請託依頼懇願ゆすり請い求めリクエストアンコール

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仰ぐ」の意味・読み・例文・類語

あお・ぐあふぐ【仰】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ガ四段活用 〙 上のほうを向く。あおむく。
    1. [初出の実例]「みどりこの 乳(ち)乞ふが如く 天つ水 安布芸(アフギ)てそ待つ」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二二)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ガ五(四) 〙
    1. 上のほうを向いて、高い所を見る。高所を望み見る。
      1. [初出の実例]「菟原壮士(うなひをとこ)い 天(あめ)(あふぎ) 叫びおらび」(出典:万葉集(8C後)九・一八〇九)
    2. ( 心理的に高い所のものを見る意から ) 尊敬する。うやまう。
      1. [初出の実例]「況や仏教の幽(はる)かに微(くは)しきをば、豈に能く仰(アフキ)(はか)らむや」(出典:大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃))
      2. 「いにしへをあふぎていまを恋ひざらめかも」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
    3. 目上の人、尊敬する人などの)教えや命令、援助などを求めたり、受けたりする。請う。
      1. [初出の実例]「長者の身面目をうしなふ上に神慮又はかりがたし。ただ聖断をあをぐべし」(出典:愚管抄(1220)四)
      2. 「その学資を退役将校の伯父に仰いでゐたが」(出典:故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉七)
    4. ( 上を向いて飲むところから ) 一気に飲み干す。
      1. [初出の実例]「ぐいと仰飲(アフ)ぎ〈略〉真に罪無き雑話を下物(さかな)に酒も過ぎぬほど心よく飲んで」(出典:五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉一二)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙 上を向かせる。あおむける。
    1. [初出の実例]「申し、鶏の足を仰(アフケ)るが如し」(出典:百法顕幽抄平安中期点(900頃))

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