紗(読み)サ

デジタル大辞泉 「紗」の意味・読み・例文・類語

さ【紗】[漢字項目]

[人名用漢字] [音]サ(漢) シャ(呉)
〈サ〉薄い絹織物。うすぎぬ。「袱紗ふくさ」
〈シャ〉生糸で織った目の粗い織物。「金紗」
[名のり]すず・たえ
[難読]紗綾さや・更紗サラサ・羅紗ラシャ

しゃ【×紗】

生糸を絡み織りにした織物。布帛ふはく面にすきまがあり、軽くて薄いので、夏物の着尺きじゃく・羽織地とする。うすぎぬ。うすもの。紗織り。さ。《季 夏》

さ【×紗】

⇒しゃ(紗)

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精選版 日本国語大辞典 「紗」の意味・読み・例文・類語

しゃ【紗】

  1. 〘 名詞 〙 生糸を絡織(からみおり)にした織物。目があらく、薄くすき通っていて軽いので、帷(とばり)や夏羽織などに用いる。うすぎぬ。うすはた。うすもの。《 季語・夏 》 〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「何と夏羽織縮緬は重し紗は軽し」(出典:俳諧・田舎の句合(1680)七番)

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普及版 字通 「紗」の読み・字形・画数・意味

紗
人名用漢字 10画

[字音] サ・シャ
[字訓] うすぎぬ

[字形] 形声
声符は少(しょう)。少に沙・砂(さ)の声がある。少は沙模様のような状態のものをいい、紗はちぢみのような絹の紗、またうすぎぬをいう。

[訓義]
1. うすぎぬ。
2. つむぎ。
3. かすか。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕紗 俗に射(しゃ)と云ふ 〔名義抄〕紗 シヤ・ウスモノ・カトリ 〔字鏡集〕紗 ウスモノ・カトリ・コメ・キヌ

[熟語]
紗帷▶・紗巾▶・紗袴▶・紗▶・紗紗▶・紗糸▶・紗▶・紗▶・紗帯▶・紗▶・紗帳▶・紗灯▶・紗▶・紗布▶・紗帽▶・紗幕▶・紗幔▶・紗羅▶・紗籠▶
[下接語]
烏紗・浣紗・巾紗・金紗・錦紗・軽紗・紅紗・絳紗・素紗・窓紗・白紗・薄紗・紗・氷紗・風紗・袱紗・平紗・碧紗・紋紗・羅紗・籠紗

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改訂新版 世界大百科事典 「紗」の意味・わかりやすい解説

紗 (しゃ)

綟り織(もじりおり)の一種。経糸2本を組織単位とし,その一方が搦み経(からみだて)となって,他の一方の地経(じだて)の左右に搦みながら組織される織物。一般に経緯に生糸を用い,強い糊を施して織り上げ,製織後に精練,染色,仕上げを行う。紗は羅と同様に,中国においてきわめて古い歴史をもつと考えられるが,羅より一層耐久性に乏しいためか,漢から隋・唐にかけて出土する羅ほど多くの例をみない。日本では平安以降〈うすもの〉と称して,装束類の夏衣料に広く活用されてきた。無紋の紗を〈素紗〉,文様を織り出したものを〈紋紗〉といい,さらに紋紗は地を紗織とし文様を平組織とした〈顕紋紗〉と,地を平組織として文様を紗織とした〈透紋紗〉とに分けられる。また金襴の製織とともに日本でも近世以降,紗地に金糸を織り入れた〈紗金〉(金紗ともいう),多色の絵緯(えぬき)を織り入れた〈繡紗〉などが作られた。特に京都竹屋町で織製された金紗は〈竹屋町金紗〉の名で知られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紗」の意味・わかりやすい解説

紗
しゃ

からみ織の一種で、経糸(たていと)2本が絡むごとに緯糸(よこいと)一越(ひとこし)が交錯したもっとも簡単なからみ織組織である。一般に綜絖(そうこう)2枚と、からみ綜絖1枚を使って製織する。この紗を地として、紋を平(ひら)、綾(あや)などの組織で表した紋紗、金糸を織り込んだ金紗(京都竹屋町で織られたので竹屋町(まち)ともいう)などがある。

 紗は古代に少なく、正倉院にも数点が遺存するだけであるが、時代が下るにしたがって増加し、近世初頭には中国の明(みん)の技術が移入され、堺(さかい)では金紗が生産されるようになった。紗にあたるゴーズGauzeは、小アジアの一都市名で、ここで創始されヨーロッパへ発展したという。また日本でも東北地方の「あせはじき」などの農民服に紗がみられ、プレ・インカ裂(ぎれ)にも多くみられるので、織技(しょくぎ)の発展過程で、いずれの地域でも生み出される組織であったとみられる。わが国では、盛夏の着尺地、羽織地、袈裟(けさ)地、篩絹(ふるいぎぬ)などに使われる。

[角山幸洋]


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百科事典マイペディア 「紗」の意味・わかりやすい解説

紗【しゃ】

からみ織りのごく薄地の織物。強撚(きょうねん)糸を用いて緯(よこ)糸を経(たて)糸2本でからめていく。絹が多いが近年は化繊や合繊もある。模様を織り出した紋紗,二重織の紗風通などがあり,玉糸を交織した紬(つむぎ)風の粋紗(すいしゃ)も平織組織だが紗と呼ぶ。通風よく涼感があるので羅(うすもの)と称され夏の着物,羽織,ふとんなどにする。
→関連項目織物|絹織物|古代裂

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紗」の意味・わかりやすい解説

紗
しゃ

織物の名称。2本の経糸を1本の緯糸にからませるところから搦織 (からみおり) とも捩 (もじり) 織ともいわれる織物の一種。通気性に富み,清涼感に秀いでているところから,盛夏用の着尺や羽織地に用いられる。中国の秦・漢代にはすでにこの語がみられるが,それらは無文紗と考えられる。 10世紀末頃から有文紗も織られた。正倉院には紗の資料は少く,屏風にその例をみるだけであるが,平安時代には貴族の衣服に流行したことが知られている。

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