(読み)ホタル

デジタル大辞泉 「蛍」の意味・読み・例文・類語

ほたる【蛍】

甲虫目ホタル科の昆虫の総称。ゲンジボタルヘイケボタルヒメボタルなど。一般に体は楕円形で軟弱、全体に黒色で胸の部分が赤い。腹部に発光器をもち、暗い所では青白い光を放つことで知られるが、ほとんど光らない種も多い。幼虫は水生のものと陸生のものとがある。くさのむし。なつむし。 夏》「狩衣の袖の裏這ふ―かな/蕪村
源氏物語第25巻の巻名。光源氏36歳。源氏の物語論、玉鬘たまかずらをめぐる人々の動きなどを描く。

けい【蛍〔螢〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケイ(漢) [訓]ほたる
〈ケイ〉昆虫の名。ホタル。「蛍火蛍光蛍雪蛍窓
〈ほたる(ぼたる)〉「蛍石蛍火源氏蛍

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精選版 日本国語大辞典 「蛍」の意味・読み・例文・類語

ほたる【蛍】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ホタル科に属する甲虫の総称。体長六~一八ミリメートル。体は長舟形で柔らかい。夜光ることでよく知られているが、発光する種はわずかである。日本ではゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルなど約四〇種知られ、特に前二者は有名で、蛍狩りの対象とされ飼養もされる。この二種の幼虫は水生であるが、これは世界でも例外的で、ほとんどは林床にすみ、カタツムリ類を食べる。古来、文学作品などによく現われる。くさのむし。なつむし。ほたろ。ほうたろ。《 季語・夏 》
      1. [初出の実例]「蛍(ホタル)の暉を慧の日に戢(をさ)め」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)一)
    2. 埋火などの小さく消え残った火。ほたるび。
      1. [初出の実例]「剛いテテ・蛍踏みけす火事の跡」(出典:雑俳・三国力こぶ(1819))
    3. ( 夜になると現われるところから ) 江戸時代、京都祇園のあたりで通行人の袖を引いた下級遊女。また、その茶屋。ほたる茶屋。
      1. [初出の実例]「もとよりほたるあつむるいろこのみにて」(出典:咄本・当世はなしの本(1684‐88)六)
  2. [ 2 ] 「源氏物語」第二五帖の巻名。源氏三六歳の五月。源氏が蛍の光で玉鬘の姿を兵部卿宮に見せること、源氏の物語論、夕霧雲井雁の恋などを配しながら、玉鬘にひかれていく源氏の心や、玉鬘をめぐる人々の動きなどを述べる。玉鬘十帖の第四。

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普及版 字通 「蛍」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)螢
16画

[字音] ケイ
[字訓] ほたる

[字形] 形声
旧字は螢に作り、(えい)声。(けい)の声がある。は卜文・金文にに作り、たいまつを交叉した形、光をめぐらすことをいう。火のとびかうさまを、それにたとえたのであろう。

[訓義]
1. ほたる。
2. と通じ、光る。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕螢 保太留(ほたる)〔和名抄〕螢 保太(ほたる)〔名義抄〕螢 ホタル

[語系]
螢・hyueng、瑩hiuengは声義が近く、火のかがやくをといい、美玉のかがやくを瑩という。同系の語である。

[熟語]
蛍案蛍影・蛍火・蛍蛍照蛍燭・蛍色・蛍雪・蛍窓・蛍蛍明・蛍
[下接語]
寒蛍・群蛍・孤蛍・集蛍・聚蛍・初蛍・新蛍・草蛍・丹蛍・飛蛍・撲蛍・野蛍・乱蛍・流蛍・露蛍

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デジタル大辞泉プラス 「蛍」の解説

蛍〔曲名:福山雅治〕

日本のポピュラー音楽。歌はシンガーソングライターで俳優の福山雅治。2010年発売。日本テレビ系で放送のドラマ「美丘(みおか) -君がいた日々-」の主題歌。

蛍〔曲名:松原のぶえ〕

日本のポピュラー音楽。歌は松原のぶえ。1990年発売。作詞:たかたかし、作曲:弦哲也。第32回日本レコード大賞最優秀歌唱賞(歌謡曲・演歌部門)受賞。

蛍〔曲名:サザンオールスターズ〕

日本のポピュラー音楽。歌は日本のバンド、サザンオールスターズ。2013年発売。作詞・作曲:桑田佳祐。同年公開の映画「永遠の0」の主題歌に起用。

蛍〔曲名:レミオロメン〕

日本のポピュラー音楽。歌は日本のバンド、レミオロメン。2007年発売。作詞・作曲:藤巻亮太。同年公開の映画「眉山」の主題歌。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蛍」の解説

蛍 (ホタル)

動物。ホタル科の昆虫の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【蛍の光】より

…原曲はスコットランド民謡詩人R.バーンズが作詞して1794年発表した《Auld Lang Syne(久しき昔)》で,イギリス,アメリカでは送別歌として普及した。日本では文部省音楽取調掛編《小学唱歌集初編》(1881)に《蛍》の題で取り上げられ,のち〈蛍の光〉として広まった。日本語の作詞者は未詳。…

※「蛍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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