高瀬舟(読み)タカセブネ

デジタル大辞泉 「高瀬舟」の意味・読み・例文・類語

たかせぶね【高瀬舟】[書名]

森鴎外小説。大正5年(1916)発表。弟殺しの罪により、高瀬舟島流しになる喜助の、知足境地安楽死問題を描く。

たかせ‐ぶね【高瀬舟】

川船の一。古代から中世にかけては小形で底が深く、近世になって大形で底が平たく浅くなった。
[補説]書名別項。→高瀬舟

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改訂新版 世界大百科事典 「高瀬舟」の意味・わかりやすい解説

高瀬舟 (たかせぶね)

古代以来,河川を主にして使われた喫水の浅い平底の小船で,湖沼海辺でも用いられた。おもに渡船,輸送船であったが,平安貴族の間では,遊び船としても盛んに用いられた。高瀬舟と類似したものに平駄(ひらた)舟があり,両者の区別は必ずしも明らかでないが,平安後期の12世紀前期に北九州遠賀(おんが)川で,上流荘園の年貢米を運んでいた平駄舟の積載量は14石前後であった。鎌倉時代,中国地方の高梁(たかはし)川を上下して,東寺領備中(岡山県)新見(にいみ)荘その他の年貢米を運んだ高瀬舟はせいぜい5石積み程度であった。近世以後,高瀬舟は川船の代表として,各地の河川に見られるようになり,大きさも小は10石積みから,大は200~300石積みに至るまでさまざまで,就航河川の状況に応じて,船型・構造を異にした。京~伏見間の高瀬川のものは,箱造りの15石積みで,小型を代表し,利根川水系の200石前後のものは,きわめて長大で大型高瀬舟を代表するものであった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高瀬舟」の意味・わかりやすい解説

高瀬舟
たかせぶね

川船の一種。古くは小型で底が深かった (高背) が,のちには大型で舳が高く底の浅いものになった。近世では利根川,大井川保津川富士川など多く川筋貨物輸送に用いられた。角倉了以 (すみのくらりょうい) が開いた京-伏見間の高瀬川は,この川船を航行させるために掘ったことによって名づけられた。

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デジタル大辞泉プラス 「高瀬舟」の解説

高瀬舟

日本ポピュラー音楽。歌と作曲は男性演歌歌手、五木ひろし。2006年発売。作詞:水木れいじ。

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世界大百科事典(旧版)内の高瀬舟の言及

【遠島】より

…全国に散在する幕府の奉行,代官の役所を近江を境に東西に分け,美濃以東の役所で判決した罪人は江戸小伝馬町牢屋に,近江以西の場合は大坂の牢屋に集めたが,長崎奉行だけは直接島に送った。京都から大坂に流人を移すのに高瀬舟が使われたのは名高い。江戸からは春秋2回出船し,大島,八丈島,三宅島,新島,神津島,御蔵島,利島の伊豆七島に,大坂からは年に1回出帆し,薩摩および五島の諸島,隠岐,壱岐,天草島に流した。…

※「高瀬舟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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