出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
染色の一種。藍汁をもって染める染色法で,《倭訓栞》にも〈紺は藍を搔たてゝ染るもの也〉とみえるが,室町時代以降の商品経済の発達とともに,紺染が商業としても飛躍的に発展し,1349年(正平4・貞和5)には,紺染を商う紺座や紺屋(こうや)の店舗と推測される史料がみられる。それとともに染色技法も高められ,室町時代初頭成立の《庭訓往来》に京都の〈猪熊紺〉があげられているのは,この染めがすでに京都の名産として名を成していたことを示している。紺染を中心とする京都の染色は,代表的な名産としての地位を保ち続け,《田植草紙》にも〈そめてほされたこんや(紺屋)のかきのかたひら(柿帷子),(中略)かたやゑもんを京かうかき(紺搔)になろうた〉などと謡われて,その技術は諸国のものをはるかにしのぐものであった。
→アイ(藍)
執筆者:川嶋 将生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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