(読み)アイ

デジタル大辞泉の解説

あい〔あゐ〕【藍】

タデ科の一年草。高さ50~80センチ。茎は紅紫色で、葉は長楕円形。秋、穂状に赤い小花をつける。葉・茎から藍染めの染料をとり、京都・大坂・阿波が産地として知られた。果実は漢方で解熱・解毒に使う。古く中国から渡来したとされる。たであい。あいたで。 花=秋》「この村に減りし土蔵や―の花/秋郷」
濃青色の天然染料の一。1木藍(きあい)などの葉や幹から得られる。インジゴ
藍色(あいいろ)。

らん【藍】[漢字項目]

常用漢字] [音]ラン(呉)(漢) [訓]あい
タデ科の草の名。アイ。「出藍
あい色。「藍碧(らんぺき)藍綬褒章(らんじゅほうしょう)
梵語の音訳字。「伽藍(がらん)
[難読]洎夫藍(サフラン)

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大辞林 第三版の解説

あい【藍】

タデ科の一年草。インドシナ原産。古く、中国を経て日本に渡来。高さ6、70センチメートルになり、秋に薄紅色の小花をつけ、黒褐色の痩果そうかを結ぶ。藍染めの染料をとるため、古くから各地で栽培されていた。タデアイ。
の葉からとる染料。主成分はインジゴ。現在では工業的に合成され、天然のものは少ない。 → 藍染め
藍色あいいろ」に同じ。
藍蠟あいろう」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


あい

青色系統の染色にもっぱら用いられる染料の名。植物性のこの色素の主成分は藍青(らんせい)とインジゴindigoである。インジゴを含む植物は、主として温熱帯地方に産し、世界の各地に少なくとも50種以上はあるといわれ、なかでもインドアイは、もっとも広く分布している。このほかに古くヨーロッパで用いられていたタイセイや、わが国で一般に使用されてきたタデアイ、奄美(あまみ)大島や沖縄のリュウキュウアイなどが知られている。なお青色を出す染料としては、アイのほかに、インジゴを含有しない、かなり多くの植物のあることが知られている。南アメリカの先住民の間で用いられた熱帯アメリカ産のアカネの果実などがそれで、日本ではクサギの実からも薄青い染料が得られるし、古くから摺衣(すりごろも)に用いられたというヤマアイにもインジゴは含まれていない。こうした植物は一括して、偽藍(ぎあい)pseudo indigoともよばれている。
 わが国のタデアイは、古くから各地で地アイとして栽培されてきたが、江戸時代に徳島藩がこれを奨励して、阿波(あわ)藍として良質のものがつくり出され、全国に売りさばかれた。栽培は、2~3月に播種(はしゅ)、4~5月に苗を畑に移植する。6~8月ごろ刈り取り、刻んで、乾燥したアイの葉を9月中旬ごろ小屋に積んで寝かせ、水を打って発酵させる。約3か月たって、12月ごろにできあがるのが(すくも)で、これを搗(つ)き固めて藍玉とし、またはから水分を除いたものが藍として染料に用いられる。藍玉は2~10%のインジゴを含み、溶かして発酵させると、水に溶けないインジゴが水溶性のインドキシルとなり、染色に使用する「藍液」ができる。
 沖縄で行われている方法は、刈り取ったリュウキュウアイを枝ごと大きなタンクに入れ、水を加えて放置する。発酵したら枝や葉を取り出してその液を別のタンクに移し入れ、石灰を加えて攪拌(かくはん)する。沈殿するとその上澄みを捨て、底に残ったペースト状の藍を染料として出荷する。この方法は今日インドでも行われており、これを泥藍(どろあい)と称する。[山辺知行]

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精選版 日本国語大辞典の解説

あい あゐ【藍】

〘名〙
① タデ科の一年草。古くから、葉や茎はインジゴ染料に、種子は漢方で解熱、解毒に用いられる。原産地は中国南部、またはインドシナ半島とされ、日本には中国を経て飛鳥時代にはすでに伝わっていた。現在、徳島、広島などで栽培。高さ約八〇センチメートル。茎は紅紫色。葉は長楕円形で、傷つけると藍色に変わる。秋、赤または白色の多数の小花が穂になって咲く。実は長さ二、三ミリメートルぐらいの黒褐色。蓼藍(たであい・りょうらん)
新撰字鏡(898‐901頃)「藍 阿井」
② 藍の葉から製する一種の染色材料。インジゴ。製造過程のちがいによって、もみあい、すくも、あいだまなどの別がある。
※日葡辞書(1603‐04)「ai(アイ) デ ソムル」
※能因本枕(10C終)七二「あゐときはだと」
④ 「あいろう(藍蝋)」の略。
[補注]「あを(青)」との関係が考えられるが、中国でも青と藍とを区別する。「からあゐ(韓藍)」「くれなゐ(紅・呉藍)」「あぢさゐ(紫陽花)」等の植物名は色の特色から発したもの。「ふたあゐ(二藍)」は「あゐ」と「くれなゐ」との二種をあわせた染色。

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