カラスバト(読み)からすばと(英語表記)Japanese wood pigeon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラスバト」の意味・わかりやすい解説

カラスバト
Columba janthina; Japanese wood pigeon

ハト目ハト科。全長 37~40cm。全身金属光沢のある黒色で,光線の向きによって緑色や紫色に輝いて美しい。脚は桃色は青緑色で先端が淡い黄色。繁殖地は本州中部以南の暖地の島嶼で,伊豆七島小笠原諸島南西諸島対馬大韓民国の南部の島嶼などに分布する。3亜種があり,基亜種のほかアカガシラカラスバト C. j. nitens が小笠原諸島や硫黄列島に,ヨナグニカラスバト C. j. stejnegeri宮古島から与那国島にすむ。いずれの亜種も常緑広葉樹林のみに生息し,樹上のほか,岩の上や樹洞にも枝を積んで巣をつくる。産卵数は 1個。非繁殖期には本州各地で観察記録がある。雑食性で,果実,花,葉,芽,堅果,ミミズ,陸貝などを樹上や地上でとる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラスバト」の意味・わかりやすい解説

カラスバト
からすばと / 烏鳩
Japanese wood pigeon
[学] Columba janthina

鳥綱ハト目ハト科の鳥。日本特産種で、伊豆諸島、小笠原諸島(おがさわらしょとう)、南西諸島、筑前(ちくぜん)沖ノ島など、日本の南西部の島で常緑広葉樹林にすみ、おもに地上で木の実などを採食する。ツバキシイの堅果を好み、タブノキ、クロガネモチノキなどの漿果(しょうか)も食べる。全長約40センチメートル、翼開長63センチメートルもある大形のハトで、全身カラスのように黒く、紫、緑などの金属光沢がある。和名は、その黒さをカラスになぞらえたものである。「モォー」とうなるような太い声で鳴く。樹枝上または樹洞中に、小枝を組み合わせた粗雑な巣をつくり、5~6月ごろ1卵を産む。3亜種に分けられ、亜種としてのカラスバトのほか、小笠原諸島などにすむものをアカガシラカラスバト、南西諸島の西部に位置する先島(さきしま)諸島にすむものをヨナクニカラスバト(特殊鳥類に指定されている)と称する。種としてのカラスバトは天然記念物に指定されている。

 近縁種のリュウキュウカラスバトは全長約45センチメートル、全身金属光沢のある黒色で、背に白い大きな斑(はん)がある。沖縄諸島大東諸島に分布していたが、1936年(昭和11)の記録を最後に現在では絶滅オガサワラカラスバトも全長約45センチメートル、黒色が薄く、頸(くび)に白い輪があり、背は紫や褐色の光沢がある。小笠原諸島に分布していたが、1889年(明治22)の採集を最後に現在では絶滅した。

[竹下信雄]


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