トッド(読み)とっど(英語表記)Alexander Robertus Todd

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トッド」の意味・わかりやすい解説

トッド
とっど
Alexander Robertus Todd
(1907―1997)

イギリス生化学者。グラスゴー大学卒業。1938年マンチェスター大学化学部教授。レビンの推論したヌクレオチド成分のほとんどの合成を行い、その構造を確認した。また、RNAリボ核酸)とDNAデオキシリボ核酸)の加水分解における性質の違いを解明し、ヌクレオチド間の結合の性質を明らかにした。1952年、核酸背骨の構造について、糖の3番目の炭素原子リン酸と結合し、このリン酸が次の糖の5番目の炭素原子と結合していると報告したが、これはDNAの基本構造を示すものであった。ヌクレオチドとその補酵素に関する研究により1957年ノーベル化学賞を授与された。

[石館三枝子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トッド」の意味・わかりやすい解説

トッド
Todd, Alexander Robertus, Baron of Trumpington

[生]1907.10.2. イギリス,グラスゴー
[没]1997.1.10. イギリス,ケンブリッジ
イギリスの生化学者。グラスゴー大学卒業。 1931年フランクフルト大学,33年オックスフォード大学で学位取得。ロンドン大学を経てマンチェスター大学有機化学教授 (1938) ,次いでケンブリッジ大学教授 (44~71) 。科学政策諮問委員会議長 (52) 。生化学において重要な位置を占めるヌクレオシドヌクレオチドの結合様式の研究と合成をはじめ,ビタミン類の構造決定と合成,生体色素アルカロイドの研究にすぐれた業績を上げた。 57年ノーベル化学賞受賞。 54年にはナイト称号を授与され,75年,ロイヤル・ソサエティ会長。

トッド
Tod, James

[生]1782.3.20.
[没]1835.11.17.
イギリスのインド行政官,歴史家軍人として身を立て,1800年ベンガルに派遣された。 05年以後中央アジアおよびラージャスターンインド藩王国の事情調査にたずさわり,その歴史に関するさまざまな資料を収集した。 23年1月,イギリスに帰国したのち,これらの資料に基づいてラージャスターンの歴史に関する大著"Annals and Antiquities of Rajasthan" (1832) を著わし,未知な地域の歴史の解明に大きく貢献した。没後にインド西部旅行記が出版された。

トッド
Todd, Michael

[生]1909.6.22. ミネソタ,ミネアポリス
[没]1958.3.22. ニューメキシコ,グランツ近郊
アメリカ合衆国の映画制作者。本名 Avrom Hirsch Goldbogen。ワイドスクリーンのトッド-AO方式を完成,『オクラホマ!』Oklahoma!(1955)で採用した。『80日間世界一周』Around the World in Eighty Days(1956)でアカデミー賞作品賞を受賞。1957年エリザベス・テーラーと結婚。1958年飛行機事故で死亡。

トッド
Todd, Ruthven

[生]1914.6.14. エディンバラ
[没]1978
スコットランド生まれの詩人。 1948年以後アメリカに定住。作品は小説,評論,児童文学,伝記などがあり,R. T. Campbellの筆名で推理小説も執筆。

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