イスラム神秘主義(読み)イスラムしんぴしゅぎ

百科事典マイペディアの解説

イスラム神秘主義【イスラムしんぴしゅぎ】

一般に〈スーフィズムsufism〉の称で知られるイスラムの思想伝統。語源はアラビア語スーフ(羊毛)とされ,神秘家はスーフィー(羊毛の粗衣をまとう者)と呼ばれる。富の蓄積と宗教指導者(ウラマー)の形式主義,神学的思弁の硬直化などに対する反動として興り,8世紀以降展開された。さまざまな修行によるファナーと呼ばれる神秘的合一体験の獲得が目指された。キリスト教,新プラトン主義,仏教を含むインド思想などの影響も指摘される。ラービアガザーリーハッラージュルーミー,イブン・アルアラビーらが有力思想家として知られ,マシニョンニコルソンコルバン,井筒俊彦などによる研究がある。
→関連項目神秘主義スーフィーニコルソンマシニョン

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世界大百科事典 第2版の解説

イスラムしんぴしゅぎ【イスラム神秘主義】

欧米では一般にスーフィズムsufismの名で呼ばれているが,この語はスーフィーṣūfīにイズムismを付してつくられたものである。アラビア語で神秘主義を表すタサッウフtaṣawwufもṣūfīを語根としてつくられた第5型動詞の名詞形で,元来は〈スーフィーとして生きること〉を意味した。スーフィーとはアラビア語で神秘家を意味するが,この語の語源については諸説がある。しかし,今日では,アラビア語の羊毛を意味するスーフṣūfから派生したものと一般に認められている。

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世界大百科事典内のイスラム神秘主義の言及

【イスラム】より

…しかし,イブン・ルシュドを最後にムスリムのアリストテレス学派の伝統は絶え,その後はイブン・アルアラビーの神智学と,スフラワルディーの照明哲学の結びついた十二イマーム派の神学的哲学が,イラン世界で独自の発展をとげたため,イスラムにあっては,啓示と理性とのぎりぎりの対決は回避された。 イスラム神秘主義の起源については学者によって意見が分かれ,ある者は外来の要素を重視し,他の者は内的発展の立場に立つ。イスラム神秘主義がコーランの教えと無関係でありえないのは当然であるが,イスラムの神秘的要素とイスラム神秘主義とは,決して同じものではない。…

※「イスラム神秘主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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