クマゲラ(その他表記)Dryocopus martius; black woodpecker

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマゲラ」の意味・わかりやすい解説

クマゲラ
Dryocopus martius; black woodpecker

キツツキキツツキ科全長 45~57cmで,カラス大の大型のキツツキ。雄は頭上から後頭に赤い羽毛が伸びて冠羽(→羽冠)となる。体のほかの部分は黒い。雌は後頭部のみが赤く,ほかの部分は黒い。はまっすぐで長く,先端は黒いが,基部側は黄白色。フランスより東のヨーロッパからシベリア東部,東アジア北部,カムチャツカ半島に及ぶユーラシア大陸の中緯度地域のほか,黒海からカスピ海南部,チベット東部などに不連続に分布する。熱帯林からタイガまでおもに巨木の多い原生林に生息する。雑食性だが,昆虫など無脊椎動物が主食アリを好み,果実や種子など植物質は少ない。日本では北海道のほか,少数が東北地方北部のブナ林で繁殖する。1965年国の天然記念物に指定された。

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改訂新版 世界大百科事典 「クマゲラ」の意味・わかりやすい解説

クマゲラ (熊啄木鳥)
great black woodpecker
Dryocopus martius

キツツキ目キツツキ科の鳥。全長約46cm。全身黒色の大型のキツツキ。眼とくちばしが淡黄色で,雄は頭頂全部,雌は後頭だけが鮮紅色をしている。落葉広葉樹針葉樹広葉樹の混じった原生林にすみ,キョー,キョー,キョーと鋭い声で鳴く。ゆっくりしたはばたきで,深い波形を描きながら飛び,飛翔(ひしよう)中にもキョッ,キョッと鳴く。樹幹を巧みによじのぼり,樹皮にくちばしで穴を開け,大型の昆虫類の幼虫などを舌でひき出して食べる。また,枯れた切株や朽ちた倒木などの上でも採食し,甲虫類やアリ類を食べる。繁殖期には,くちばしで樹幹や枯枝たたき,コロコロコロ……という遠くまでよく響く大きな音をたてる。4~6月に,ブナなどの高木の幹に巣穴を掘り,1腹3~6個の卵を産む。ヨーロッパからアジアの亜寒帯に広く分布し,日本では北海道と秋田県の北東部,青森県の白神山地で繁殖するが,数は少ない。キタタキ同様,森林の伐採が進むと絶滅のおそれがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマゲラ」の意味・わかりやすい解説

クマゲラ
くまげら / 熊啄木鳥
black woodpecker
[学] Dryocopus martius

鳥綱キツツキ目キツツキ科の鳥。大形種で、全長約45センチメートル。全身黒色で、雄の頭部と雌の後頭だけが赤い。ヨーロッパからアジア北部にかけて分布し、日本では北海道と秋田県八幡平(はちまんたい)に生息する。おもに針葉樹林にすみ、昆虫やアリなどを地上で採食することも多い。巣は大木に大きな穴を掘ってつくる。そのため、大木のある天然林が伐採されるにつれて、近年はかなり減少している。1965年(昭和40)に国の天然記念物に指定された。

[浦本昌紀]


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百科事典マイペディア 「クマゲラ」の意味・わかりやすい解説

クマゲラ

キツツキ科の鳥。翼長24cm。黒い大型のキツツキで,頭部に鮮赤色の羽毛がある。ユーラシア大陸中部に分布し,日本では北海道と東北北部で繁殖する留鳥。山地の原生林にすみ,巨木の幹に穴を掘って巣とする。繁殖期には枯木をくちばしでたたき,大きな連続音を発する。天然記念物。絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目キツツキ

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