セウェルス(その他表記)Severus, Lucius Septimius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セウェルス」の意味・わかりやすい解説

セウェルス
Severus, Lucius Septimius

[生]146. 北アフリカ,レプチス・マグナ
[没]211.2. ブリタニア,エボラクム
ローマ皇帝在位 193~211)。セプチミウス・セウェルスとも呼ばれる。セウェルス朝の祖。騎士身分(エクイテス)の出身,軍人として活躍。190年執政官(コンスル),上パンノニア総督。コンモドゥス帝暗殺後の混乱に乗じ,193年カルヌンツムで皇帝に即位しローマに入る。近衛軍を解体して全軍団から新防衛軍を徴発し,軍団を各地に増設。同時に兵士の待遇も改善した。政策面ではイタリア偏重策を改め,ガイウス・ペスケンニウス・ニゲルを討って東方を平定,シリアを分割して反乱を予防した。王朝を開くため子のカラカラを副帝とし,みずからの家系をアントニヌス家に結びつけた。さらに西方の副帝アルビヌスを討ってブリタニアを二分し,197年クテシホンを落としてパルティア大勝。202年カラカラを共治帝としてローマに帰還した。ブリタニアに遠征中,病とカラカラの離反に悩まされながら没した。セウェルスは帝権の拡大を目指し,権力の地盤軍隊にあることを認め,元老院を抑圧法制にも興味をもち,法学者ドミティウス・ウルピアヌス,イウリアヌス・パウルス,アミリウス・パピニアヌスを登用。また財源を増すため統制経済に踏み出したが,軍団増設,兵士給与の増加,戦費,植民市建設,大建築などのため死後多大の経済的負担を残した。

セウェルス
Severus, Flavius Valerius

[生]?
[没]307. ガリア,トレス・タベルナエ
ローマ皇帝 (在位 306~307) 。イリュリクム貧民から軍人となり,パンノニアで活躍。 305年コンスタンチウス1世の下で副帝となり,パンノニア,イタリア,アフリカを支配。 306年にはガレリウスとともに正帝。重税を課したため,ローマ市に反乱が起り,これを指揮したマクセンチウスとその父マクシミアヌスに敗れて捕われ,処刑された。

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改訂新版 世界大百科事典 「セウェルス」の意味・わかりやすい解説

セウェルス
Flavius Valerius Severus
生没年:?-307

ローマ皇帝。在位306-307年。イリュリクムの下層出身の軍人。ガレリウスにとり立てられ,305年西の正帝コンスタンティウス1世下の副帝,養子となり,イタリア,パンノニア,アフリカの一部を支配。306年正帝の死に伴いガレリウスから正帝に推されたが,コンスタンティヌス1世などの反抗をうけ,ローマで蜂起したマクセンティウスを討とうとして逆に捕らえられ,のちまもなくローマ近郊で謀殺された。
執筆者:


セウェルス
Severus
生没年:465ころ-538

アンティオキア総主教。在位512-518年。アレクサンドリア,ベリュトスで研究し,488年に受洗。修道士として禁欲生活を送る。温和なキリスト単性論の立場に立ち,508年ころにはコンスタンティノープルへ赴いてアナスタシウス帝の単性論者迫害をやめさせた。アンティオキア総主教となってのちユスティヌス1世に追放されたが説をまげず,536年破門された。シリア語の説教,書簡が多数現存する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セウェルス」の意味・わかりやすい解説

セウェルス
せうぇるす

セプティミウス・セウェルス

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「セウェルス」の解説

セウェルス

セプティミウス・セウェルス

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世界大百科事典(旧版)内のセウェルスの言及

【建築家】より

…古代ギリシアの建築書はすべて失われてしまっているが,それらの内容の大要は,前1世紀のローマの建築家ウィトルウィウスが前30年ころに書いた10巻の建築書によって,今日まで伝えられている。暴君ネロに仕えた3人の建築家,セウェルスSeverus,ケレルCeler,ラビリウスRabiriusは,自在かつ独創的なアイデアで知られ,トラヤヌス帝とハドリアヌス帝に仕えたダマスクスのアポロドロスは,おそらくローマ帝国時代最大の建築家であった。ハドリアヌス帝は,みずからもすぐれた建築家であって,ローマのパンテオン,〈ウェヌスとローマの神殿〉,ティボリのハドリアヌスの別荘(ビラ・アドリアーナ)などの実質上の設計者と見なされている。…

【ドムス・アウレア】より

…〈黄金の家〉の意味。建築家はセウェルスSeverusとケレルCeler。現在コロセウムの建っているあたりにあった,人造湖を中心にした田園風庭園にとりまかれた大宮殿で,その敷地は50haとも150haとも推測される。…

【単性論】より

…その当時の単性論は,エウテュケスの極端な教えではなく,キリストの完全な人性を認めながらも,それが神性と結ばれると〈唯一の本性〉になるとするにとどめていた。ちなみにシリアの単性論派の指導者アンティオキアのセウェルス(セベロス)はひじょうに慎重な表現を用いている。5~7世紀のビザンティン皇帝の単性論派融和策,すなわち東方引止め策は結果としてすべて失敗し,東方は7世紀中葉からイスラムの支配下に入った。…

※「セウェルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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