ニジニーノブゴロド(読み)にじにーのぶごろど(英語表記)Нижний Новгород/Nizhniy Novgorod

デジタル大辞泉 「ニジニーノブゴロド」の意味・読み・例文・類語

ニジニー‐ノブゴロド(Nizhniy Novgorod/Нижний Новгород)

ロシア連邦西部、ニジニーノブゴロド州の都市。同州の州都。ボルガ川に臨む河港都市であり、シベリア鉄道が通る。大発電所があり、各種の工業が盛ん。13世紀に築かれた要塞に起源し、14世紀半ば、スーズダリニジェゴロド公国の首都が置かれた。作家ゴーリキーの生地で、1932年から1991年までゴーリキー市とよばれた。市街中心部には15世紀から18世紀に建てられたクレムリンやウスペンスキー教会などの歴史的建造物が残る。人口、行政区127万、都市圏128万(2008)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニジニーノブゴロド」の意味・わかりやすい解説

ニジニー・ノブゴロド
にじにーのぶごろど
Нижний Новгород/Nizhniy Novgorod

ロシア連邦、ニジェゴロド州の州都。ニジェゴロドとはニジニー・ノブゴロドの短縮形で、州名として一般的に用いられている。オカ川がボルガ川に合流する地点にある。人口136万4900(1999)。ノブゴロドとよばれていたが、13世紀末にはニジニー・ノブゴロドとなった。1932年にここで生まれたマクシム・ゴーリキーの作家生活40年を記念してゴーリキーГорький/Gor'kiyと改名されたが、91年に旧称に戻された。ボルガ上流部の行政、工業、文化の大中心地鉄道ハイウェーの分岐点で、河港、空港がある。ロシア革命(1917)後、第二次世界大戦までの五か年計画時に大規模な工業投資が行われ、多くの工業企業がつくられた。国内最大の自動車工場が建設されたのもこの時期であった。第二次世界大戦中は、ソ連の軍需品製造中心の一つとして発展した。主要な工業は機械工業(自動車、航空機、船舶、ディーゼル・エンジン、コンプレッサー、泥炭採掘機、テレビ)である。ほかに冶金(やきん)、化学(石油製品)、木材加工、食品(食肉、製粉、菓子、ビール醸造、シャンパン醸造)、亜麻(あま)加工、トリコット、皮靴製造の各工業がある。

 市は1221年に、モルドバ人やボルガ・ブルガール人に対する軍事哨所(しょうしょ)として始まり、1350年からスズダリ・ニジェゴロド公国の首都となった。そして地理的位置のよさから商業と文化の中心として発展し、1374年にこれまでの木の柵(さく)にかわり、石造りのクレムリン(城塞(じょうさい))の建設が始まった。15世紀よりカザン・ハン国に対するロシアの軍事拠点となり、1611~12年のポーランド侵入軍に対する民族蜂起(ほうき)の中心であった。19世紀に食品とボルガ水運に関連する工業がおこり、ボルガ水運の発展によって河港として栄えた。また、1918~20年の国内戦ではボルガ艦隊の基地であった。なお、1817年から1930年まで毎年開かれていた定期市(いち)は有名である。

 市街はオカ川によって二分され、東部丘陵で、旧市はここにある。西部は低地で、工業地帯である。市内に15~18世紀の建築記念物が多く、クレムリン(16世紀)、アルハンゲリスキー寺院(16世紀)、ウスペンスキー教会(17世紀)などが保存されている。また、文化の中心地として、多くの教育・文化施設があり、総合大学をはじめ、工科、水運技術、建築、医科、農業、教育の諸大学や、ドラマ劇場、オペラ・バレエ劇場、喜劇劇場、人形劇場、ゴーリキー博物館、サーカス場、交響楽団が置かれている。

[中村泰三・小俣利男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニジニーノブゴロド」の意味・わかりやすい解説

ニジニーノブゴロド
Nizhny Novgorod

ロシア西部,ニジェゴロド州の州都。1932~90年はゴーリキー Gor'ky。モスクワの東約 420km,ボルガ川オカ川の合流点に位置する。年代記によると 1221年ウラジーミル公ユーリー・フセボロドビッチが建設。バルト海から中央アジアへの主要な交通路をなしていたボルガ川に臨み,モスクワ方面への連絡路をなしていたオカ川の流入点に位置していたため,戦略上の要地として重要となり,1392年モスクワ大公国領に入ると,東方のタタール人に対する前進拠点となった。16世紀半ばロシアがボルガ川流域を統合したのちは,交易中心地として発展。1817年から始まった市の見本市には,ロシア,アジア各地の商人が集まった。ボルガ川中流域の農産物加工の中心地として早くから各種の手工業が発展していたが,十月革命後は重工業関連の工場が多数立地,ソビエト連邦の大都市の一つとなった。機械 (自動車,航空機部品,モータ,クレーン,工作機械) ,造船,化学,木材加工,繊維,製紙,食品などの工業がある。ロバチェフスキー大学 (1918) をはじめ農業,医学,工学などの大学,美術館,多くの教育・文化施設がある。ボルガ河畔には美しい公園があり,16世紀建造のクレムリン (城砦) ,17世紀のアルハンゲリスキー大聖堂などが保存されている。交通の要地で,鉄道,ハイウェーが市から放射状に延びるとともに,河港からモスクワ,カザンボルゴグラードなどへ貨物船や快速客船が就航。空港もある。市周辺にはいくつかの衛星都市や住宅地があり,ニジニーノブゴロド大都市圏を形成している。旧市名ゴーリキーは 1868年市に生まれた文豪マクシム・ゴーリキーを記念したもの。また,数学者ニコライ・ロバチェフスキーの生地でもある。人口 125万615(2010)。

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