ハーバー(読み)はーばー(その他表記)Fritz Haber

デジタル大辞泉 「ハーバー」の意味・読み・例文・類語

ハーバー(harbor/harbour)

港。船着き場。「ヨットハーバー
[類語]港湾波止場はとば船着き場船泊まり桟橋埠頭ふとう岸壁がんぺき築港海港河港かこう商港漁港軍港ポート

ハーバー(Fritz Haber)

[1868~1934]ドイツの化学者。空中の窒素水素とからアンモニアを合成する方法を開発し、ボッシュとともに工業化に成功。1918年ノーベル化学賞受賞。

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精選版 日本国語大辞典 「ハーバー」の意味・読み・例文・類語

ハーバー

  1. ( Fritz Haber フリッツ━ ) ドイツの化学者。ガス反応の熱力学を研究、C=ボッシュらとともにアンモニア合成法を考案。著「工業ガス反応における熱力学」など。一九一八年ノーベル化学賞受賞。(一八六八‐一九三四

ハーバー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] harbo(u)r ) 港のこと。船着き場。〔万国新語大辞典(1935)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハーバー」の意味・わかりやすい解説

ハーバー
はーばー
Fritz Haber
(1868―1934)

ドイツの化学者。ベルリンその他の大学に学び、1894年にカールスルーエ工業大学の化学技術学の助手となり、1906年に昇進して教授、気体反応に関する多くの研究を残し、1912年カイザー・ウィルヘルム研究所(現、マックス・プランク研究所)の初代物理化学研究所長となり、また電気化学研究所長、ベルリン大学教授を兼ねた。本来は有機化学を学んだが、カールスルーエの助手時代に気体反応の熱力学を手がけ、1904年から翌1905年にかけてアンモニアの平衡を研究した。この測定結果は、熱定理を提唱していたネルンストの反論をよび、ハーバーは実験を繰り返すなかで、自己の測定結果を再確認するとともに、水素と窒素からのアンモニア合成の工業化の可能性を認めた。助手のロシニョルRobert Le Rossignol(1884―1976)とともに1908年からアンモニア合成の工業化研究をBASF社と共同で遂行し、同年にアンモニア合成の基本特許を取得した。アンモニアをその成分元素から合成した業績が認められ1918年にノーベル化学賞を受賞。

 アンモニア合成以外での研究では、1909年にガラス電極を発明したこと、高温での各種の気体反応の研究が著名である。熱心な愛国者であり、第一次世界大戦中には実戦での毒ガスの使用を指揮、大戦後はドイツに課せられた莫大(ばくだい)な賠償金の支払いに応じるため、海水から金を採取する計画をたてたが失敗した。1924年(大正13)に来日、帰国後は日独両国の文化交流に努力した。1933年にヒトラーが政権をとってからは、ユダヤ人のゆえに公職を追放され、イギリスのケンブリッジ研究所へ招かれて4か月を過ごしたが、イスラエルダニエル・シーフ協会の創立行事に参加するための旅行の途中、スイスバーゼルでこの世を去った。1935年に多数のドイツの学協会はハーバーの一周忌を催したが、ナチスの妨害にもかかわらず、500人が参集し、盛大に行われた。

[加藤邦興]

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改訂新版 世界大百科事典 「ハーバー」の意味・わかりやすい解説

ハーバー
Fritz Haber
生没年:1868-1934

ドイツの化学者。アンモニア合成法〈ハーバー法〉の創始者。ブレスラウ(現,ポーランド領ブロツワフ)の生れ。ベルリン,ハイデルベルクチューリヒの各大学で学び,1894年カールスルーエ工業大学の助手となり,1906年同大学教授に就任した。11年新設のカイザー・ウィルヘルム研究所の物理化学・電気化学研究所長に登用され,ベルリン大学教授を兼任した。電気化学,気体反応の分野で多くのすぐれた業績をあげ,また1909年には薄い2枚のガラスの間の電位を測って,溶液の酸性度を測定するガラス電極を発明した。1904年ころから化学肥料の原料として,窒素と水素とからアンモニアを合成する研究を始め,化学平衡の考えから,圧力,温度,触媒などの条件をしらみつぶしに変えて実験を行い,08年に至り温度500℃,圧力150~200atm,オスミウム触媒という条件を見いだし,実験室でのハーバー法に成功した。ひき続きBASF(バスフ)社のボッシュの協力を得て,13年工業化に成功し,今日のアンモニア合成工業の先駆をなした。この功によって18年ノーベル化学賞を授与された。第1次世界大戦中ハーバー法は火薬の製造におおいに利用され,またみずからも毒ガス研究で指導的役割を演じた。24年来日し,各地で講演を行い,帰国後,日独文化交流に尽力した。多方面にわたる国家的功労にもかかわらず,33年ナチに追われて公職を退き,ケンブリッジ大学に招かれて渡英したが,34年イタリア旅行の途中バーゼルで病死した。著書に《工業電気化学要綱》(1898),《工業的ガス反応の熱力学》(1905),《ハーバー博士講演集Aus Leben und Beruf》(1927)などがある。
執筆者:

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化学辞典 第2版 「ハーバー」の解説

ハーバー
ハーバー
Haber, Fritz

ドイツの化学者.ベルリン大学,シャルロッテン工科大学などで学び,1891年にインジゴの関連物質の研究で学位を取得.ユダヤ系だがイェーナ大学の化学実験室の助手時代にプロテスタントに改宗.1894年カールスルーエ工科大学助手となり,当時新しい分野であった物理化学・電気化学の分野に入り,頭角を現し,論文・著書を多く発表し,1906年に正教授になった.オーストリアの工場主の依頼でアンモニアの合成の実験をし,高温,常圧での実験結果から合成の可能性を否定.しかし,そのデータをH.W. Nernst(ネルンスト)が批判したので実験をやり直し,実験室における高圧下でのアンモニア合成に成功した.1913年ハーバーの方法によって,ドイツの化学大企業BASF社のC. Bosch(ボッシュ)とP.A. Mittaschら同社技術者が工業化に成功した.1912年ベルリンのカイザー・ウィルヘルム協会物理化学・電気化学研究所初代所長に就任した.第一次世界大戦がはじまり,戦争が長期化すると,毒ガスの使用を提案し,その開発に従事し,もと化学者の夫人Clara Immerwahrは,毒ガス戦に反対して,1915年ピストル自殺した.戦後の1919年アンモニア合成で,1918年度のノーベル化学賞を受賞.1924年星製薬社長星一の招待で日本を訪問して2か月滞在した.1933年に政権をとったナチスの研究所人事への介入に抗議して,辞表を提出.国外に出てイギリスに移る.翌年はじめ,旅先のスイスのバーゼルにて心臓麻ひで急死した.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハーバー」の意味・わかりやすい解説

ハーバー
Haber, Fritz

[生]1868.12.9. ブレスラウ(現ポーランド,ウロツワフ)
[没]1934.1.29. スイス,バーゼル
ドイツの物理化学者。ベルリン大学,チューリヒ大学などに学び,カルルスルーエ工科大学助手 (1889) ,同大学物理化学教授 (98) 。ベルリンのカイザー・ウィルヘルム物理化学研究所所長 (1911) 。電気化学と気体反応について多くの業績を残したが,最も重要な業績は 1909年の大気中の窒素と水素ガスからアンモニアを工業的規模で合成する方法の開発である。この方法は C.ボッシュによって改良されてハーバー=ボッシュ法と呼ばれている。 18年にノーベル化学賞を受賞した。第1次世界大戦中は化学兵器,特に毒ガス兵器の開発に指導的役割を演じた。大戦後ハーバーの研究所は物理化学研究で世界の指導的存在となり,物理化学のほとんどの分野に基本的な貢献を行なった。化学と産業の密接なつながりを説き,化学界の権威となった。 33年,ユダヤ人であったため,ナチス政権に追われ,ケンブリッジ大学に招かれてイギリスへ亡命した。旅行中スイスで死亡。

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百科事典マイペディア 「ハーバー」の意味・わかりやすい解説

ハーバー

ドイツの化学者。1906年カールスルーエ工科大学教授,1911年カイザー・ウィルヘルム協会の物理化学電気化学研究所初代所長兼ベルリン大学教授。気体反応の研究から空中窒素固定法(ハーバー=ボッシュ法)を発明。1918年ノーベル化学賞。1933年ナチスの政策により公職を追われた。

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デジタル大辞泉プラス 「ハーバー」の解説

ハーバー〔菓子〕

神奈川県横浜市、ありあけが製造・販売する銘菓。カステラ生地で粒栗入りの栗餡を包んだ洋菓子。1954年に発売。当初の製造・販売元である有明製菓の倒産とともに生産終了したが、2001年に再発売された。「ありあけのハーバー」とも。

ハーバー〔化粧品〕

株式会社ハーバー研究所が販売する化粧品のブランド名。基礎化粧品、メイクアップ化粧品、ボディケア用品、ヘアケア用品がある。

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世界大百科事典(旧版)内のハーバーの言及

【微分音】より

… 微分音は,民族音楽において微妙な音程進行や,音の揺れとして多くみられるものであるが,その他の音楽においても表現上の意図からビブラートやポルタメントにおいて生じている。 20世紀になると,微分音は音楽語法の一つとして積極的に取り上げられ,とくにハーバは微分音による作曲を体系化し,4分音によるオペラ《マトカMatka》,6分音による《弦楽四重奏曲第10・11番》など多数作曲した。また第2次大戦後には微分音はペンデレツキらのトーン・クラスターとしても用いられている。…

※「ハーバー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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