日本大百科全書(ニッポニカ) 「プリズム(通信 監視)」の意味・わかりやすい解説
プリズム(通信 監視)
ぷりずむ
PRISM
アメリカ国防総省国家安全保障局(NSA:National Security Agency)の通信監視・傍受プログラムの一つ。インターネット企業のサーバーに接続し、電子メール、書類、写真、動画、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での投稿をはじめ、サービス利用の履歴などの個人情報を常時監視し、必要な情報を収集する。プログラムへのアクセス権限のあるNSA担当官がパソコンから調査対象を情報検索すると、調査対象企業が設置している特殊なサーバーを介して必要な情報が提供される仕組みになっているといわれる。調査対象企業のサーバーには、FBI(連邦捜査局)のデータ傍受技術ユニットを通じて接続され、接続したサーバーのほぼすべての情報にアクセスできる状態で常時監視が行われるという。アメリカでは外国情報監視法や愛国者法(反テロ法)により、外国人やテロリストを監視するため、政府に通信データを収集、分析する権限が与えられている。
2013年6月にCIA(アメリカ中央情報局)の元職員が、NSAの極秘諜報(ちょうほう)活動を暴露し、プリズムを使った情報収集が国際問題に発展した。情報収集の対象となっていたのは、マイクロソフト、グーグル、ヤフー、フェイスブック、アップル、AOL、ユーチューブ、スカイプ、パルトークなど、世界中に数億人規模の会員を有するアメリカの大手IT企業であった。NSAでは、年々、プリズムを使った情報収集への依存度が高まっているとされる。また、公開されたプリズムの関連資料からは、電子メールアドレスから個人情報の収集や閲覧ができる、エックスキースコアXkeyscoreというシステムの存在も明らかになっている。
[編集部]