七夕踊(読み)タナバタオドリ

デジタル大辞泉 「七夕踊」の意味・読み・例文・類語

たなばた‐おどり〔‐をどり〕【七夕踊(り)】

小町こまち踊り

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精選版 日本国語大辞典 「七夕踊」の意味・読み・例文・類語

たなばた‐おどり‥をどり【七夕踊】

  1. 〘 名詞 〙 江戸初~中期に、京都などで、七夕の日、着飾った娘たちが太鼓を打ちながら町を踊りあるいたもの。小町踊り。《 季語・秋 》 〔随筆還魂紙料(1826)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「七夕踊」の意味・わかりやすい解説

七夕踊
たなばたおどり

江戸時代初期から享保年間(1716~36)頃に流行した少女による七夕の踊り。盆踊一種で,小町踊とも呼ばれた。菅江真澄は『伊那中路』のなかで,天明3(1783)年の七夕の晩に信州洗馬(長野県松本市洗馬)で見た七夕踊について,「身のけそう,きよらによそひたちて,めのわらは,あまたむれつどひ,さゝらすりもてうたひごち,こよひや,ほしをいさめ奉るならん」と,美しく装った少女たちが,ささらをすって歌をうたいながら踊る様子を記している。また 7月13日の迎え火の晩にも,七夕踊と同様の少女による踊りが街を練っていたことを記している。神奈川県南足柄市の足柄ささら踊りは,本来は少女の踊りで,七夕踊の系譜をひくといわれ,びんざさらと小太鼓の囃子に合わせて近世歌謡をうたいながら踊る。また,島根県雲南市木次の盆踊は,七夕踊りと呼ばれている。鹿児島県いちき串木野市大里の市来七夕踊では,青年たちによる太鼓踊が,シカ,トラ,ウシのつくりものとともに練り歩く。(→風流踊

七夕踊[市来]
たなばたおどり[いちき]

鹿児島県いちき串木野市大里で 8月5~11日の日曜日(本来は旧暦 7月7日)に行なわれる祭り。大里地区 14集落の二才(にせ)と呼ばれる 15~29歳の青年による太鼓踊が,作い物(つくいもん)と呼ばれる巨大なシカ,トラ,ウシ,ツルのつくり物と,行列物と呼ばれる琉球王行列と大名行列,なぎなた行列,かぶと行列のあとについて踊りを奉納する。白装束で頭に花笠を着けた役者(やっさ)と呼ばれる踊り子数十人が,太鼓やを持ち輪になって踊るもので,7庭(曲)を基本とするが,場所により 9庭や 13庭踊る。天和4(1684)年に地頭の床濤到住(とこなみとうじゅう)の尽力で大里の水田用水がひらかれ,その祝賀に踊ったのが始まりとされ,中福良にある床濤到住の碑が,踊り始めと踊り納めの場所と決まっている。国指定重要無形民俗文化財。(→市来七夕踊

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改訂新版 世界大百科事典 「七夕踊」の意味・わかりやすい解説

七夕踊 (たなばたおどり)

民俗舞踊の一種。もと旧暦7月7日の七夕の日に行われた踊り。江戸時代初期から享保期(1716-36)にかけて,京都で少女が小町踊を七夕に踊るのが流行した。現在残っているもののうち島根県雲南市の旧木次町の七夕踊は〈盆踊〉ともいい,《七夕踊》《山くづし》《関の五本松》の3曲からなる。鹿児島県いちき串木野市の旧市来(いちき)町の〈市来の七夕踊〉は,七夕に行われる風流(ふりゆう)で,鹿,虎,牛,鶴の大張子の作り物,琉球王行列,大名行列,薙刀(なぎなた)踊の行列物と,七夕踊の中心をなす太鼓踊からなる。大里地区の全青年が数百人参加する大がかりなものである。加世田(かせだ)の武士踊,栗野の研欲(とぎほし)踊とともに,薩摩の三大踊とされる。
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世界大百科事典(旧版)内の七夕踊の言及

【小町踊】より

…江戸初期から中期にかけて京都で流行した風流(ふりゆう)踊の一種で,七夕(たなばた)の日に踊ったので〈七夕踊〉ともいう。7,8歳から17,18歳までの少女が美しい晴着を身につけ,鉢巻や片たすきをかけ,朱の日傘をさしかけ,手に団扇(うちわ)太鼓を持って家々を訪問し,盆歌をうたいながら輪になって踊った。…

※「七夕踊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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