三線(読み)サンシン

デジタル大辞泉 「三線」の意味・読み・例文・類語

さん‐しん【三線】

沖縄県および奄美あまみ群島で用いる弦楽器三味線を小ぶりにした形で、両面に蛇皮を張った木製の胴にさおをつける。ふつう3本の絹糸の弦をわたし、つの製の爪形の義甲を人差し指にはめて弾く。14世紀末に中国の三弦が伝わったものといわれ、のち日本本土に渡って三味線の母胎となった。蛇皮線じゃびせん

さん‐せん【三線】

三味線のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「三線」の意味・読み・例文・類語

さん‐しん【三線】

  1. 〘 名詞 〙 沖縄に伝わる弦楽器の一つ。形は三味線に似て三本の弦をもち、棹(さお)は黒檀・紫檀・桑などを用い、胴に蛇皮を張ったもの。棹は三味線より短く、人さし指にはめた小さな角(つの)で弾く。一四世紀の後半に中国の弦楽器の三弦子(さんげんす)が伝わったもの。琉球古典音楽民謡伴奏に用いられ、さらに日本に渡って三味線となった。蛇皮線(じゃびせん)

さん‐せん【三線】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 囲碁で、盤端から数えて第三番目の線。地域と根拠を得やすい利点がある反面、位の低い憾みがあり、「三線をむやみに這うな」という囲碁格言がある。
  3. しゃみせん(三味線)〔書言字考節用集(1717)〕

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百科事典マイペディア 「三線」の意味・わかりやすい解説

三線【さんしん】

沖縄および奄美の長い棹をもつリュート属撥弦楽器。3本の弦を,右手の人差指にはめた水牛などの角でできた義甲ではじく。三味線(しゃみせん)/(さみせん)とも呼ぶ。共鳴胴の両面に蛇皮(じゃび)を張るので,本土では蛇皮線と俗称する。古典音楽や民謡の伴奏に用いる。中国の三弦(サンシエン)が渡来,改良されて三線となり,三線が本土に伝わり改良されて三味線となったとされる。
→関連項目カチャーシークーチョー(胡弓)組踊島歌トゥバラーマ節歌ミャークニー毛遊びユンタ琉歌琉球文化

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三線」の意味・わかりやすい解説

三線
さんしん

沖縄、奄美(あまみ)など南西諸島のリュート型撥弦(はつげん)楽器。蛇皮線(じゃびせん)は本土での俗称である。三味線(しゃみせん)と同系の楽器だが、やや小さく、全長約75~80センチメートル、胴の両面に蛇の皮や渋紙を張る。サワリのくふうはない。3本の弦は絹製で、低いほうから男弦(ウージル)、中弦(ナカジル)、女弦(ミージル)とよばれる。調弦は低いほうから4度、5度にとる本調子が大半だが、中弦を1音上げる二揚(ニアギ)調子、女弦を1音下げる三下(サンサギ)調子も用いられる。ほかに男弦を3度(長3度と短3度の中間)上げる一揚(イチアギ)調子もある。人差し指に大きな指型の義甲をはめて弾奏する。奄美では竹ひごを使う。

 三線は、中国の三弦が伝来し沖縄で改良されたものと考えられるが、渡来時期は不明。沖縄では宮廷の保護の下、もっぱら歌の伴奏楽器として音楽の中心的存在となった。楽譜には工工四(クンクンシー)という勘所譜(かんどころふ)が使われる。奄美諸島にも沖縄から伝来し、伝統的な島歌(しまうた)の伴奏楽器として広く普及した。奏法は沖縄に比べて細かく装飾的である。

[卜田隆嗣]


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改訂新版 世界大百科事典 「三線」の意味・わかりやすい解説

三線 (さんしん)

沖縄・奄美諸島方面で使われる撥弦楽器。本土の三味線や中国の三弦とほぼ同形で,胴の表裏両面に蛇皮を張るため,本土では蛇皮線(じやびせん)の俗称で呼ばれている。全長約80cmで三味線よりもやや小型である。棹(さお)は黒檀,紫檀あるいは桑などを材料とした延べ棹。胴は三味線よりやや円形で,ニシキヘビの皮を張るが,その代用として渋紙を張ることもある。3本の弦は絹糸を用いるが,最近はナイロン糸を使うこともある。演奏には牛,水牛などの角で作った指形の義甲を右手人差指にはめて撥弦するが,つまびくこともある。14世紀に中国の福建地方から沖縄に三弦が渡来し,これが改良されたといわれているが,それ以前にアンナン,シャム方面からもたらされたという説もあり,確証はない。この三線が16世紀後半に堺や九州との交易に伴い本土に伝来し,改良されて三味線になったというのが通説である。現在でも南西諸島方面では古典音楽や民謡の伴奏楽器として愛好されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三線」の意味・わかりやすい解説

三線
さんしん

日本の弦楽器の一種。沖縄および奄美地方で用いられる。「蛇皮線」「さむしる」ともいい,現在では三味線と呼ばれることも少くない。日本本土の三味線の直接の原型となったものであるが,現在の三線には,本土三味線からの逆影響も多い。四角い胴に棹を差込んだリュート属の楽器で,胴には蛇皮が張られ,棹の全長は約 76cm,これに3本の弦が張られる。つまり本土三味線に比べて,やや小型のものであるが,細部において多くの違いがあり,糸巻への糸の掛け方などが異なる (一の糸と三の糸とが逆) 。奏者は右手人差指に義甲をはめたり,撥 (ばち) を持ったりして撥弦する。沖縄の芸術音楽に用いられるほか,各地の民謡や民俗芸能の伴奏にも欠かせない音楽である。なお,沖縄では蛇皮線という名称は使わない。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「三線」の解説

三線
さんしん

沖縄・奄美などで伝承される弦楽器。「さむしる」とも発音し,近来は「しゃみせん」ともいう。俗称の蛇皮線(じゃびせん)は本土側のよび方で,現地では用いない。組踊や琉歌の伴奏楽器として用いる。14世紀末頃に伝来した中国の三弦を改良して作られたとされ,胴にはニシキヘビの皮を張り,右手人差指にはめた義爪,奄美では竹ヒゴで演奏する。永禄年間に本土に伝わり,改良されて三味線となった。

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日本文化いろは事典 「三線」の解説

三線

沖縄・奄美など南西諸島の弦楽器。胴の裏表両面に蛇皮が張られていて、全長75〜80cm程度の大きさです。 沖縄音楽の伴奏には欠かせない存在の楽器で、独特な温かい響きの楽器です。 近年では沖縄だけでなく、日本本土でも非常に人気のある楽器の一つです。

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普及版 字通 「三線」の読み・字形・画数・意味

【三線】さんせん

三絃。

字通「三」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の三線の言及

【屋嘉比朝寄】より

…沖縄の音楽家。琉球三線(さんしん)音楽中興の祖。琉球王府の玉川按司朝雄(たまがわあじちようゆう)の四男で,生来音楽的資質に恵まれ,尚敬王の命で薩摩に留学し,謡曲・仕舞を学んだ。…

※「三線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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