中通り(読み)ナカドオリ

デジタル大辞泉 「中通り」の意味・読み・例文・類語

なか‐どおり〔‐どほり〕【中通り】


本通りと裏通りとの間の通り。「中通りの商店街」
上等と下等の中間。中等。
「―の侍衆一人、是は香の物ばかりでよし」〈浄・西王母〉
中通り女」の略。
「―の女は経帷子を縫ふなど」〈浮・懐硯・二〉
遊里で、太夫の次の位の遊女。天神。
「―。天職をさしていふ」〈色道大鏡・一〉
福島県中央部、奥羽山脈阿武隈高地にはさまれた地域をいう。福島市二本松市本宮もとみや郡山市須賀川市白河市などがある。→会津浜通り

ちゅう‐どおり〔‐どほり〕【中通り】

中くらいの程度。中間の位。
腰元、―の女までも皆色めきて」〈浮・男色大鑑・八〉
歌舞伎役者階級江戸での呼称で、名題なだい役者の次、下回りの上に位する。中役者

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精選版 日本国語大辞典 「中通り」の意味・読み・例文・類語

なか‐どおり‥どほり【中通】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 中央部の往来。本通りと裏通りとの間の往来。
      1. [初出の実例]「丁ど気海の穴は、其の左右の腎の臓の中間(ナカ)通りに当って居て」(出典:志都の岩屋講本(1811)下)
      2. 「仲通(ナカドホ)りの骨董屋」(出典:当世少年気質(1892)〈巖谷小波〉二)
    2. 中間に位置するもの。
      1. (イ) 上等と下等との間。中級。中等。中位。中程度。ちゅうどおり。
        1. [初出の実例]「今は下々の着る事かたく制禁なれば、ならず。其中どをりにも、官録にしたがひ、次第に結構をば尽さず」(出典:浮世草子・好色破邪顕正(1687)下)
      2. (ロ) まんなか。
        1. [初出の実例]「中通りの折目をもかまひなくひろげて」(出典:寒川入道筆記(1613頃)愚痴文盲者口状之事)
    3. 近世初期の遊里で、大夫の次の位置にある遊女、すなわち天職の異名。
      1. [初出の実例]「中通(ナカドヲ)り。天職をさしていふ」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一)
    4. なかどおりおんな(中通女)」の略。
      1. [初出の実例]「中通(なかトヲ)りの女は経帷子を縫ふなど」(出典:浮世草子・懐硯(1687)二)
    5. ちゅうどおり(中通)
      1. [初出の実例]「中通(ナカドホ)りの引込(ひっこみ)だナ」(出典:滑稽本・和合人(1823‐44)三)
  2. [ 2 ] 福島県中央部の地域名。阿武隈川久慈川流域を占め、福島・二本松郡山須賀川白河・田村の六市と伊達・安達・岩瀬・西白河・東白川・石川・田村の七郡とから成る。

ちゅう‐どおり‥どほり【中通】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 上等と下等の中間。よくもなくわるくもないこと。ちゅうぐらい。中等。なかどおり。
    1. [初出の実例]「我身は中通(ドヲ)りの女ぶんに成べし」(出典:浮世草子・武道伝来記(1687)一)
  3. 歌舞伎役者の階級。名題役者のつぎ、三階級あるうちの中位のもの。江戸での呼称で、上方では中役者といった。二流役者をいう場合もある。板の間。〔役者論語(1776)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「中通り」の意味・わかりやすい解説

中通り (なかどおり)

福島県中央部の地域名。福島県を地勢をもとに東から浜通り,中通り,会津地方の3地域に分けた場合の地域名の一つで,東の阿武隈高地,西の奥羽山脈にはさまれ,大部分阿武隈川と久慈川の流域に相当する。古くから関東と東北を結ぶ主要街道通じ,仙道(せんどう)または山道(さんどう)とも呼ばれた。北から中通り低地と呼ばれる福島盆地郡山盆地,本宮盆地,須賀川盆地,白河盆地が並び,また南部には久慈川の谷がある。東部には阿武隈高地西縁の丘陵地が続き,樹枝状谷が発達する。気候は浜通りに比べると内陸的で寒暖の差が大きく,会津地方よりは積雪が少ない。福島,二本松,郡山,須賀川,白河,田村の6市が含まれる。面積は5472km2で全県の約4割であるが,人口は全県の約6割に及ぶ。東北自動車道,東北本線,同新幹線が通じ,福島県の中心的地域となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中通り」の意味・わかりやすい解説

中通り
なかどおり

福島県の地域区分の一つ。県を東西に三区分し、阿武隈(あぶくま)高地から東を浜通り(はまどおり)、中央脊梁(せきりょう)山脈から西を会津(あいづ)とし、この中間にある地域を中通りとする。大きくみると北流する阿武隈川と南流する久慈川(くじがわ)の流域で、約100キロメートルの縦谷である。ただし実際の地域区分は行政区画に整合するように若干修正され、福島、二本松(にほんまつ)、本宮(もとみや)、郡山(こおりやま)、須賀川(すかがわ)、白河(しらかわ)、田村、伊達(だて)の8市と伊達、安達(あだち)、岩瀬、西白河、東白川、石川、田村の7郡からなる。古くから関東から東北への主要な交通路で、現在もJR東北本線、東北新幹線、国道4号、東北自動車道がほぼ並行して走っている。また県人口の半分を超える約120万人(2010)が居住する。内陸的な気候環境で、農業は多彩な展開を示し、工業生産も県総生産額のなかばを上回る。

[渡辺四郎]

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百科事典マイペディア 「中通り」の意味・わかりやすい解説

中通り【なかどおり】

福島県中央部,阿武隈(あぶくま)高地奥羽山脈の間にはさまれた阿武隈川流域の低地帯をいう。南から須賀川,郡山,福島の3盆地があり,福島県経済・交通の中心地域をなす。
→関連項目蘆名盛氏稲村御所

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中通り」の意味・わかりやすい解説

中通り
なかどおり

福島県中央部,阿武隈高地と奥羽山脈との間にはさまれた阿武隈川,久慈川の流域を占める地域。太平洋側の浜通りおよび奥羽山脈以西の会津地方に対し中央に位置することから命名。古くは仙道,山道とも呼ばれていた。奥州街道 (国道4号線) が通じ,江戸時代から奥州諸藩が江戸に参勤する街道として栄えた。現在でも JR東北本線,東北新幹線,東北自動車道が通じる大動脈で,同県の経済,交通の中心地域にあたり,福島,郡山,須賀川,白河などの諸都市がある。

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世界大百科事典(旧版)内の中通りの言及

【阿武隈川】より

…一方,右岸では白河丘陵を東流した後,石川町北西で合流する社(やしろ)川,田村郡北部の水を集める大滝根川と移(うつし)川,川俣より北流する広瀬川,角田盆地の内川,雉子尾川などが本流に注ぐ。 本流に沿って,上流から白河,須賀川,郡山,本宮,福島,角田などの各盆地および河口付近の仙南平野と,それらの間の低い丘陵地や山地とが交互に配列しており,福島盆地以南では福島県の中通り低地帯をつくっている。本宮盆地より上流では洪積台地の発達が著しく,盆地床の標高は200m以上である。…

【福島[県]】より

…【狐塚 裕子】
[3列の山地と低地]
 福島県は,ほぼ南北に並列する三つの山地と三つの低地から形成されており,全体としては山地・丘陵地が広い。山地は東から阿武隈高地,奥羽山脈と飯豊(いいで)山地・越後山脈であり,太平洋とそれらの山地の間に,東から浜通り低地帯(浜通り),中通り低地帯(中通り)および会津地方の会津盆地・田島盆地が南北に並列している。阿武隈高地は大部分が標高1000m以下の高原状地形であり,高地内には樹枝状谷が発達する。…

※「中通り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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