(読み)ドンブリ

デジタル大辞泉 「丼」の意味・読み・例文・類語

どんぶり【丼】

食物を盛るための厚手で深い陶製の大きな鉢。どんぶりばち。
職人などの腹掛け前部につけた大きな物入れ。
サラサ緞子どんすなどで作った懐中用の大きな袋。江戸時代、若い遊び人が好んで用いた。
丼物どんぶりもの」の略。
[類語]茶碗ひつ片口ボウル茶托ソーサーコースター

どん【丼】

どんぶり」の略。「うな」「天

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精選版 日本国語大辞典 「丼」の意味・読み・例文・類語

どんぶり【丼】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 厚手で深い陶製の、食物を盛る鉢。どんぶりばち。
    1. [初出の実例]「豆腐をあつく煮て〈略〉丼に入て出しける」(出典:随筆・耳嚢(1784‐1814)六)
  3. 金、鼻紙など何でも入れて、ふところに持ち歩く大きな袋。更紗(さらさ)・緞子(どんす)などで作り、江戸時代、若い遊び人が好んで用いた。
    1. [初出の実例]「ゑぞにしきで大どんぶりをこしらへてこよう」(出典:黄表紙・悦贔屓蝦夷押領(1788))
  4. 職人などの、腹掛けの前部につけた共布(ともぎれ)の大きな物入れ。
    1. [初出の実例]「腹掛の隠袋(ドンブリ)の中で金が迂鳴(うなっ)てるんだ」(出典:落語・磯の白浪(1890)〈七代目土橋亭りう馬〉)
  5. どんぶりもの(丼物)」の略。
    1. [初出の実例]「暮の眠を覚す丼」(出典:俳諧・二葉の松(1690))
  6. 江戸時代、瀬戸内海を中心に買積み経営に従事した小廻しの廻船。弁財造り系統の小荷船で、百石から百五十石積程度のものが多い。いさば。
    1. [初出の実例]「トンフリ 濁音に読字未考。小船也、百三十石積、百四五十石積の船也」(出典:和漢船用集(1766)四)

丼の補助注記

「丼」には「集韻」に「投物井中声」とあるように、井戸に物を投げいれた音の意がある。名詞ドンブリに「丼」があてられたのは、井戸に物を投げいれたときの音をさす副詞ドンブリに対応する漢語が「丼」であったことによるか。


どん【丼】

  1. 〘 造語要素 〙 ( 「どんぶり(丼)」の変化したもの ) 多く食品名の下の方を省略した形に付いて、それを材料としたどんぶり飯をいう。「うなどん」「天どん」「かつどん」「玉どん」など。
    1. [初出の実例]「…どん どんぶりの略。例へば天ぷらの丼飯(どんぶりめし)を天どんといひ。鰻の丼飯をうなどんといふが如きである」(出典:現代新語辞典(1919))

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改訂新版 世界大百科事典 「丼」の意味・わかりやすい解説

丼 (どんぶり)

食物を盛る陶磁器深鉢。また,それに飯を盛ってウナギ蒲焼,てんぷらなどをのせた丼飯,丼物の略称。水に物を投げ入れたときの音をとっての名だというが,はっきりしない。この語は17世紀末ごろから見られ,おもにそばのかけや種物などを入れる器として用いられていたが,1781年(天明1),旗本布施胤致(狂名山手白人(やまのてしろひと))が洲崎の料亭主升屋宗助(ますやそうすけ)を自邸に招待したさいの献立書には,平鉢,大鉢などのほかに〈南京染付どんぶり〉の名が見えている。やがて飯の上にウナギの蒲焼をのせて,たれをかける〈うなぎ丼〉などが考案されると,簡便,美味なその方式庶民の愛好するところとなり,《江戸名所図会》巻一〈中橋〉の図中に見られるごとく,〈丼物〉なる語を生むにいたった。現在ひろく見られる丼物には,〈うなぎ丼〉略して〈うなどん〉,てんぷら丼の〈天どん〉のほか,とんカツを使う〈かつどん〉,鶏肉タマネギミツバなどを卵とじにしてのせる〈親子丼〉,鶏肉のかわりに牛肉を使う〈開化丼〉,牛肉の煮込みをかける〈牛どん〉,マグロの刺身をすし飯にのせる〈鉄火丼〉,かまぼこシイタケなどをとり合わせる〈木の葉丼〉など種類は多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「丼」の意味・わかりやすい解説


どんぶり

厚みがあり、大きくて深い焼物の鉢。丼鉢ともいう。丼飯、丼物の略称にも用いられる。江戸時代の中ごろから丼の名がみられ、おもにそばかけの類が丼に盛って売られていた。当時は丼には蓋(ふた)がなかった。現在も、そば、うどんなど麺類(めんるい)は、丼に入れて蓋をしないで供している。

[河野友美]

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