出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
奈良県橿原市に属する旧高市郡の旧町。環濠集落,寺内町(じないちよう),町人住宅(町屋(まちや))街の伝統を伝え,その歴史的町並みが有名である。今井町は16世紀半ば(天文年代)に大坂本願寺の兵部卿法印豊寿が南大和の中心的宿場町八木の西方の今井庄に一向宗道場として今井御坊(称念寺)を建立,門徒の浪人や商人らを集めて寺内町を開いた。町域は4町四方,外周には水濠をめぐらして要塞化した。1575年(天正3)に織田信長に屈服したが,堺と姉妹町の関係にあったため,寺内町として今井兵部卿歴代の支配が認められ,徳川幕府もこれを承認した。しかし,町人自治が発達しており,今井兵部卿の特権を排除し,幕府直領として惣年寄3家(今西,尾崎,上田)が町政に当たった。今西,上田の両氏は戦国武士の十市氏の末流,尾崎氏は豊臣氏の代官として城上郡(磯城郡)に入部したのが関ヶ原の戦後に浪人,3氏とも今井町に亡命したものである。今井町には富裕町人が蟠踞(ばんきよ)し,その財力は関西地方に周知で,大名貸なども盛んだったといわれる。環濠都市のため治安は保たれ,また消防組織を発達させて火事のない町として繁盛した。明治新政を迎えても,町人の富力は衰えず,民有鉄道などの起終点に今井町がしばしばあげられたが,町民はその敷設をきらった。これら町人の大小の住宅(町屋)が現存するが,とくに今西氏の八棟造の巨棟は近世今井町の天守閣ともいうべき構築である。このほか重要文化財の民家が多い。1956年畝傍(うねび)町,八木町などと合体して橿原市となった。
執筆者:永島 福太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
奈良県中西部、橿原(かしはら)市の一地区。旧今井町。飛鳥(あすか)川西岸にある部分的に水濠(すいごう)に囲まれた南北300メートル、東西600メートルの地区。現存する民家の約8割は江戸時代からのもので、特徴的な寺内町(じないまち)の姿をとどめている。室町末期、石山本願寺の家衆今井兵部(ひょうぶ)が御坊(称念寺)を建て、4町四方に堀を巡らし、防衛的寺内町を建設したのに始まる。称念寺や豊田家、今西家など9件が国の重要文化財となっている。1993年(平成5)国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。
[菊地一郎]
戦国期,大和国にあった寺内町(じないまち)。現在の奈良県橿原市今井町。真宗寺院称念寺を中核とする。「大和記」に「今井村ト申処ハ,兵部ト申一向坊主ノ取立申新地ニテ(中略)四町四方堀ヲ掘リ廻シ土手ヲ築キ,内ニ町割致シ,方々ヨリ人ヲ集メ,家ヲ作ラセ,国中ヘノ商等イタサセ,又ハ牢人ヲ呼集メ置キ申候」とあり,寺を中心に堀を巡らした自治都市の形態がわかる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加