付(き)物(読み)ツキモノ

デジタル大辞泉の解説

つき‐もの【付(き)物】

その物に付属して用をなす物。また、ある物事と密接な関係をもち、それといつも取り合わせて考えられるもの。墨(すみ)と硯(すずり)、権利と義務、梅と鶯(うぐいす)の類。
ある物事にかならずついてまわるとされる性質や状態。「スポーツにけがは付き物だ」
書籍や雑誌に綴じ込まれたり、差し込まれたりしている付属印刷物。また、付録ブックカバー帯紙など。

つけ‐もの【付(け)物】

主となるものに、別のものを付け添えること。また、そのもの。
衣服につける飾り物。特に、京都の賀茂の祭の日、鉾(ほこ)持ちの者が水干の袖や袴(はかま)につける花などの飾り。
雅楽歌い物で、楽器の伴奏をつけること。また、その楽器。催馬楽(さいばら)では、横笛篳篥(ひちりき)笙(しょう)琵琶など。
箏(そう)組歌の教習課程で、付属曲として習う曲。歌曲では「雲井弄斎(くもいろうさい)」など、器楽曲では「六段」「みだれ」など。
俳諧付合(つけあい)で、物付けのこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

つけ‐もの【付物】

〘名〙
① 主体となるものにつけ添えたもの。本体に付属して作ったもの。つきもの。
※漢書列伝景徐抄(1477‐1515)「下の字はつけものぞ。許下、洛下、呉下なんどと云様なことぞ」
※歌舞伎・月梅薫朧夜(花井お梅)(1888)三幕「本舞台三間の常足の二重、後ろへ平縁(ひらぶち)の附物(ツケモノ)
② 衣服に飾りとして付けるもの。特に、賀茂の祭の時など、鉾(ほこ)を持って従う下級の従者である放免(ほうべん)の装束に付ける装飾品。
※徒然草(1331頃)二二一「この比はつけもの、年を送りて過差ことのほかになりて」
③ 人に従うもの。あとからついて行くもの。
※御湯殿上日記‐享祿五年(1532)四月五日「御行道あり、つけものに地下二三人うち板にしこうする」
④ 雅楽で、楽器の伴奏をつけること。また、その楽器。催馬楽(さいばら)では、横笛・篳篥(ひちりき)・笙(しょう)・琵琶などが、朗詠では、横笛・篳篥・笙などが用いられる。
※文机談(1283頃)三「いにしへはつけもののならひ、哥をむねとして、絃も管もただこゑのくのかしらを聞定て」
⑤ 箏の組歌に付属曲として習う曲。「六段」「みだれ」などの器楽曲がこれにあたる。
⑥ 俳諧の付合で、前の句の事物や用語に関連のある事物や用語を付句で付けること。物付け。
※中華若木詩抄(1520頃)上「雨はつけもの也。雨と云字にて、句を作くる」
※俳諧・去来抄(1702‐04)修行「ほ句はむかしよりさまざま替り侍れど、附句は三変也。むかしは附物(つけもの)を専らとす」
⑦ 人形浄瑠璃劇で、一日の興行中の主要演目である立狂言に対して、付随的な短い演目。付物狂言。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の付(き)物の言及

【箏曲】より

…そのなかの《すががき》《りんぜつ》《きぬた》などは,箏の器楽曲としても独立するとともに,さまざまな類曲が作られ,〈段物〉(〈調べ物〉とも),〈砧物〉などとして,組歌に付随して教習されるようになった。流行歌謡の〈弄斎(ろうさい)節〉を箏曲化した〈弄斎物〉の楽曲とともに,すべて組歌の〈付物(つけもの)〉として扱われる。 寛政(1789‐1801)ころに,江戸の山田検校は,当時の江戸で盛行していた三味線音楽の河東節や一中節などの歌浄瑠璃に対して,これを箏曲化したといえる新歌曲を創始,〈吾妻箏歌(あづまことうた)〉と称したが,後世〈山田流箏曲〉と称するようになった。…

※「付(き)物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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