先立つ(読み)サキダツ

デジタル大辞泉 「先立つ」の意味・読み・例文・類語

さき‐だ・つ【先立つ】

[動タ五(四)]
先頭に立って行く。また、先頭に立って行動する。「リーダーが―・って登る」
ある物事をするより以前に行われる。順序が先である。「講演に―・って講師紹介があった」
先に死ぬ。「親に―・つ不孝」「妻に―・たれる」
何かをするときに、はじめに必要になる。「旅行したいが―・つものがない」
[動タ下二]さきだてる」の文語形
[類語](1先んずる先んじる先駆ける先走る先に立つ先頭を切る先行先導主導誘導率先音頭取り先駆前駆先回り抜け駆けリード/(3死ぬ亡くなる死する没する果てる眠るめいするたおれる事切れる身罷みまか旅立つ死去する死亡する死没する物故する絶命する絶息する永眠する瞑目めいもくする逝去せいきょする長逝ちょうせいする永逝えいせいする他界する昇天する往生おうじょうする落命する急逝きゅうせいする急死する頓死とんしする横死する憤死する夭折ようせつする夭逝ようせいする息を引き取る冷たくなるえなくなる世を去る帰らぬ人となる不帰の客となる死出の旅に出る亡き数に入る鬼籍に入る幽明さかいことにする黄泉こうせんの客となる命を落とす人死に物化まかくたばる絶え入る消え入るはかなくなる絶え果てる空しくなる仏になる朽ち果てる失命夭死臨終ぽっくりころり突然死即死

さい‐だ・つ【先立つ】

《「さきだつ」の音変化》
[動タ四]先に立つ。先に行く。
「中納言殿の車はとく詣で給ひければ、―・ちゆく」〈落窪・二〉
[動タ下二]先に物事をさせる。先に行かせる。
「人はみなおくらかし―・てなどして」〈かげろふ・中〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「先立つ」の意味・読み・例文・類語

さき‐だ・つ【先立】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 タ行五(四) 〙
    1. 前に立つ。先頭に立つ。さきになる。
      1. [初出の実例]「かつがつも 最(いや)佐岐陀弖(サキダテ)る 兄(え)をし枕(ま)かむ」(出典古事記(712)中・歌謡)
      2. 「塩冶判官高貞は、千余騎にて、一日先立て前陣を仕る」(出典:太平記(14C後)一一)
    2. まっさきに起こる。他のことより先に起こる。第一となる。さきんずる。
      1. [初出の実例]「琴取れば嘆き先立(さきだつ)けだしくも琴の下樋に嬬(つま)や隠(こも)れる」(出典:万葉集(8C後)七・一一二九)
      2. 「まづおどろかされてさきだつなみだをつつみ給ひてものもいはれず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
    3. 先に死ぬ。
      1. [初出の実例]「おもひきやかすみもはてぬかりのよにさきだつくもとならんものとは」(出典:斎宮女御集(985頃か))
      2. 「限りあらむ道にも、後れさきだたじと契(ちぎ)らせ給ひけるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 タ行四段活用 〙 先にする。
    1. [初出の実例]「あらたまの伎倍(きへ)の林に汝を立てて行きかつましじ眠(い)を佐伎太多(サキダタ)ね」(出典:万葉集(8C後)一四・三三五三)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙さきだてる(先立)

さい‐だ・つ【先立】

  1. ( 「さきだつ(先立)」の変化した語 )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 タ行四段活用 〙 先に立って物事をする。
    1. [初出の実例]「爾して乃ち赤駿〈略〉駆(はしり)(サイタツ)迅於滅(ときかたちほるもかにして)(う)せぬ」(出典:日本書紀(720)雄略九年七月(前田本訓))
    2. 「中納言殿の車は疾く詣で給ひければ、さいだちゆく」(出典:落窪物語(10C後)二)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙 さきだたせる。先に物事をさせる。
    1. [初出の実例]「人はみなおくらかしさいだてなどして、かすかにあゆみゆけば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)

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