写し(読み)ウツシ

デジタル大辞泉 「写し」の意味・読み・例文・類語

うつし【写し】

書画などを写しとること。模写。また、その書画。
書類などの控えとして書き写したり複写したりした文書謄本とうほんコピー。「証書写し
写真映画などにとること。「大写し」「二重写し
模造品。「天目てんもく写し
[類語](1複写模写コピー複製リプリント模倣まね模擬人まね猿まね右へ倣え模造紛い物偽物真似事模する倣う見倣うなぞらえる擬するイミテーションカーボンコピー/(2副本控え手控えコピー

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精選版 日本国語大辞典 「写し」の意味・読み・例文・類語

うつし【写・映】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「うつす(写)」の連用形の名詞化 )
  2. 書画などを見て、それに似せ、またはそのとおりに別に書きとること。模写。また、その書画。
    1. [初出の実例]「朝隆の中納言は、行成の大納言の消息、ゆゆしくうつしにせられたるとぞ聞え侍める」(出典:今鏡(1170)五)
  3. 書類などの控えとして、そのとおりに書きとった、または、器械で複製した文書。謄本。副本。
    1. [初出の実例]「久しくこれを学びたれば、この謄本(〈注〉ウツシ)を読ましめたり」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉四)
  4. もとになるものに似せて、それとそっくりに作ること。また、その物。
    1. [初出の実例]「ゆへいかんとなれば人はみなでうすの御うつしにつくり玉へばなり」(出典:どちりなきりしたん(一六〇〇年版)(1600)七)
  5. ( 人名などの下に付けて ) その人のことば、態度、やり方などを、まねてすること。
    1. [初出の実例]「はじめのうちは、柳朝うつしの人情噺(ばなし)のたんねんのところが評判になったが」(出典末枯(1917)〈久保田万太郎〉)
  6. 写真や映画にとること。また、映画などで、映像スクリーンに現われるようにすること。「二重うつし」「大うつし」などのように造語要素として使う場合が多い。
  7. うつしぞめ(写染)」の略。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の写しの言及

【案文】より

…案ともいう。文書を作成の順序に従って分けると,(1)草案,(2)正文(しようもん),(3)案文,(4)写しとなる。文書を作成するには,まず草案(草(そう),土代(どだい)ともいう)を作り,それを清書して相手に渡す。…

【古文書】より

…正文は草稿・控え,さらには次に述べる案文(あんもん)に比べて,形式・内容ともに完備しており,古文書の研究にもっとも重要な資料となる。一方これを受け取った方は,証拠書類としてその写しを作成する。これが案文であり,案文の作成には,おおむねつぎの五つの場合が考えられる。…

【模写】より

…まねて写すこと,また写したものをいうが,ことに造形芸術において重要な概念である。彫刻の場合,模刻とも呼ぶ。…

※「写し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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