加賀(市)(読み)かが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「加賀(市)」の意味・わかりやすい解説

加賀(市)
かが

石川県南西端にある市。1958年(昭和33)大聖寺(だいしょうじ)、山代(やましろ)、片山津(かたやまづ)、動橋(いぶりばし)、橋立(はしたて)の5町と三木(みき)、三谷(みたに)、南郷(なんごう)、塩屋(しおや)の4村が合併して市制施行。2005年(平成17)江沼(えぬま)郡山中町(やまなかまち)を合併。市名は旧国名加賀にちなむ。大聖寺川、動橋川の下流域の低湿地を占め、柴山潟(しばやまがた)を抱き、西は日本海に面する。加賀温泉郷に属す山代温泉片山津温泉、山中温泉もある。JR北陸本線、国道8号、305号、364号、北陸自動車道が通じ、小松空港に隣接する。柴山貝塚などの縄文遺跡、古墳群(狐山(きつねやま)古墳、法皇山(ほうおうざん)横穴古墳群その他)があり、古代の廃寺跡も多く、菅生石部(すごういそべ)神社ほか式内社9社や駅、津も設けられ、古くから開けた地である。篠原(しのはら)は木曽義仲(きそよしなか)が平家を破った古戦場で、大聖寺には加賀藩の支藩大聖寺藩10万石の城が置かれた。江戸時代から絹織物の産地で、山代では九谷焼(くたにやき)を産し、いまに続く。塩屋、瀬越(せごえ)、橋立には北前船の海商が多数輩出し、明治中期まで大阪・北海道間を交易し栄えた。現在は合成繊維織物、チェーン、スポーク車輪を中心部から支えている針金棒)など自転車部品工業が発達する。中心地は大聖寺で、江沼神社裏手に国指定重要文化財の長流亭(ちょうりゅうてい)がある。山田町の中央公園には国指定重要有形民俗文化財の白山麓(はくさんろく)山村の民家と山村生産用具がある。海岸は越前加賀海岸国定公園(えちぜんかがかいがんこくていこうえん)に属する。2月10日の竹割祭(菅生石部神社)は有名。また、大聖寺の北西約4キロメートルのところにある片野鴨池(かたのかもいけ)は、1993年(平成5)ラムサール条約登録湿地となった。面積305.87平方キロメートル、人口6万3220(2020)。

[矢ヶ崎孝雄]

『『加賀市史』全6巻(1975~1979・加賀市)』『『加賀市の歴史』(1978・加賀市)』


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