古地図(読み)コチズ

デジタル大辞泉 「古地図」の意味・読み・例文・類語

こ‐ちず〔‐チヅ〕【古地図】

16、7世紀以前の、主として手書きによって作製された地図

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精選版 日本国語大辞典 「古地図」の意味・読み・例文・類語

こ‐ちず‥チヅ【古地図】

  1. 〘 名詞 〙 近代以前に作られた地図。または、単に作成年代が古い地図。
    1. [初出の実例]「古地図に出てくるインダス河に架けられてゐた橋」(出典:日本の橋(1936)〈保田与重郎〉)

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百科事典マイペディア 「古地図」の意味・わかりやすい解説

古地図【こちず】

古い時代の地図。図法や印刷技術が進歩した16世紀以降の近代的地図とは一応区別される。古いものでは,メソポタミア粘土板市街図(前3000年ころ),パピルスに描かれた前1320年ころのエジプト金山の図,バビロニアの粘土板の世界地図(前500年ころ)などがある。ギリシア時代のアナクシマンドロスの世界図(前580年ころ),それを改良したヘカタイオスの世界図(前500年ころ)は現在伝わらない。しかし地球の球形が知られるようになると経緯線や投影法を用いた地図が作られるようになった。とくにプトレマイオス・クラウディオスの世界地図は8000地点の経緯度を記し,後世の地図作成に大きな影響を与えた。古代ギリシアの地図はイスラム世界に引き継がれて修正が加えられ,とくに1154年のイドリーシーの世界地図が代表的な例である。中世のキリスト教世界ではTO図がおもなものであった。13世紀ころのイタリアの船乗りの間ではポルトラノと呼ばれる海図が用いられていた。日本では,麻布,紙に墨書きされた奈良時代(8世紀)の田図,寺図が正倉院などに残されており,平安〜江戸時代に用いられた行基図少数荘園図,国々図があり,以後,三大国絵図として知られる16世紀末の文禄国絵図,江戸時代の正保日本図天保国絵図が代表的なもの。19世紀に入って,ようやく経緯度測定に基づく国土全図(伊能図)が現れた。→地図

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古地図」の意味・わかりやすい解説

古地図
こちず

作成年代の古い地図の総称。年代についての定義はない。地図作成の技術史的な面からみれば,測量技法が確立し,器具が発達して近代的な地図がつくられるようになったこととか,印刷による大量作成が可能になったこととかが,一つの分岐点となりうる。たとえば,1図葉ごとの手書地図は古地図と称することができる。しかし,地図印刷が可能になったあとのものでも,残存部数が少く,材料や手法が珍しければ,古地図として通用している。ただし,歴史地図とははっきり異なる。 (→地図史 )

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