(読み)かつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


かつ

禅宗の僧侶が用いる叱声。参禅者を励まし導くのに用いる。また,言葉により表現できない絶対の真理を,「喝」によって表わす。

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世界大百科事典 第2版の解説

かつ【喝 hè】

大声でどなりつけること。叱る意。中国の禅宗で,師が弟子を導くのに,経典の講義や説法のほか,日常の挨拶や対話を重視して,言葉で叱り,で打つなど,直接行為に訴えるのがそれで,徳山の棒,臨済の喝はもっとも有名だが,そうした喝と棒をあわせて棒喝といい,禅の特殊教育の語となる。大喝一声,一喝を与えるなど,必ずしも叱るのではなくて,いきなり相手の仏性を喚起する場合もあり,そうした種々の用例を,金剛王宝剣(仁王の刀),探竿影草(魚をさそう),踞地金毛(獅子のねらい),不作一喝(声をださぬ喝)という,四つに分類する。

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大辞林 第三版の解説

かつ【喝】

大きな声で叱ること、おどすこと。
禅宗で、指導者が修行者を叱ったり導いたりする手段として大声を出すこと。また、その際に言う語。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


かつ

勢いのよい大きな声、人を叱咤(しった)する声、またその声を発すること。禅宗では中国唐代以降、種々の意味をもって使用され、師が言詮(ごんせん)(言語をもって仏法を説き明かすこと)の及ばぬ禅の極意(ごくい)を弟子に示すための方便として盛んに用いられた。その始まりは馬祖道一(ばそどういつ)・百丈懐海(ひゃくじょうえかい)の師資(師弟)間に行われたとされ、「黄檗希運(おうばくきうん)の棒」「臨済義玄(りんざいぎげん)の喝」と並び称され、言語、思慮を超えた悟境を示す手段とされた。とくに臨済宗門下では、「臨済四喝(りんざいしかつ)」とよばれる機関(指導の手段)としてまとめられ、修行の指標とされた。のちには葬儀の際の引導(いんどう)にも用いられるようになった。[石川力山]

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精選版 日本国語大辞典の解説

かつ【喝】

[1] 〘名〙 (「恐喝」の略語) 恐喝をいう、不良・盗人仲間の隠語。〔特殊語百科辞典(1931)〕
※肉体の門(1947)〈田村泰次郎〉「かつ(喝)でまきあげるにゃまんじゅう(時計)が、てっとり早えが、足がつくのも早えからな」
[2] 〘感動〙 仏語。禅宗で、言語、文字では表わしにくい心の働きを示したり、または修行者を叱り、どなりつけて導いたりするために用いる叫び声。転じて、広くどなる声。→一喝(いっかつ)
※歌謡・松の葉(1703)四・寛濶一休「いっきうほっすふりあげて、なんぢふどうけなんぢふどけか、あつかかからかのかつととなへたまへば」

かっ‐・す【喝】

〘他サ変〙 声を大きくして責める。どなりつける。しかる。
※道元大和尚仮名法語(1250)向上「臨済禅師、僧の門に入を見て、即喝す」

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