大法寺(読み)だいほうじ

精選版 日本国語大辞典 「大法寺」の意味・読み・例文・類語

だいほう‐じダイホフ‥【大法寺】

  1. 長野県小県(ちいさがた)郡青木村にある天台宗の寺。山号は一乗山観音院。大宝年間(七〇一‐七〇四文武天皇の勅による定恵の草創と伝えられる大宝寺にはじまる。大同元年(八〇六)義真が再興。元祿一〇年(一六九七)改称。元弘三年(一三三三)建立の三重塔は国宝。

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日本歴史地名大系 「大法寺」の解説

大法寺
たいほうじ

[現在地名]青木村大字当郷 日向

天台宗。一乗山大法寺。本尊十一面観音。寺に所蔵される「一乗山観音院霊宝記」は至徳三年(一三八六)祐照法印の記すところで、現在写本として残るが、これによると、大宝年間(七〇一―七〇四)、藤原鎌足の子定恵によって創立され、大同年間(八〇六―八一〇)坂上田村麻呂の祈願で、初代天台宗座主義真によって再興されたという。ただしこれは寺伝であり確証する史料はない。しかし、寺の前には「延喜式」所載の官道東山道が通過していたことは確実で、その通過地点と考えられる所に惣門そうもん本宿もとじゆくなどの地名が残り、ここが東山道浦野うらの駅の所在地点であろうと比定されているところから、おそらく浦野駅の駅寺として創建されたものと考えられる。また、惣門(山門)・参道・本坊などの伽藍配置も古式を示し、しかも本堂内には平安中期を下らない木造十一面観音像(重要文化財)・木造普賢菩薩像(同)を安置しているなどの諸点から推定して、大宝年間の創立という所伝も真実に近いものと考えられる。


大法寺
だいほうじ

[現在地名]富山市梅沢町二丁目

海秀山と号し、日蓮宗。本尊は十界勧請大曼陀羅。慶長一一年(一六〇六)前田利長の富山築城を機に、高岡利屋とぎや町大法寺一〇世照盛院日行により創建された。貞享三年(一六八六)一龍院日徳が婦負ねい羽根はね(現婦中町)の民家で法華経を講じた際、鷹狩に訪れていた富山二代藩主前田正甫を教化したのを機に、元禄四年(一六九一)八月をもって曹洞宗より日蓮宗に改宗せしめたという(越中名僧史伝)。ただし寺蔵文書によれば正甫の改宗に先立って、江戸にいる姫が元禄三年三月に改宗し、当寺がその菩提寺とされている。その際法談の場として羽根村が選ばれたことは事実のようである。以後毎年三月一二日には祈祷料米として一〇石が給されることになり、また宗内の行司役任官、および登城に際して二階御門際までの乗物を許された。


大法寺
だいほうじ

[現在地名]八幡浜市本町

江西山と号し、臨済宗妙心寺派、本尊阿弥陀如来。慶安元年(一六四八)の創建と伝えるが、「宇和旧記」は「本尊観音、開山不詳」とし、もとは弥陀寺と称したという。

「伊予二名集」は寺付近の大門だいもんという地名は、萩森はぎもり城の城門があったことによるという。「宇和旧記」は、「此山ばたに温石おほし」として、その石を石風呂などの積石に利用するため、諸方から取りに来るが無尽蔵であるといっている。


大法寺
だいほうじ

[現在地名]松山市本町四丁目

国道一九六号の西裏通りの閑静な地にある。山号は妙立山。日蓮宗。本尊は十界大曼荼羅。寺伝によると、もと伊予郡松前まさきにあり、加藤嘉明の松山城下町建設の際に城北の山越やまごえ村に移建されたという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大法寺」の意味・わかりやすい解説

大法寺
だいほうじ

長野県小県(ちいさがた)郡青木村当郷(とうごう)にある天台宗の寺。一乗山観音院(かんのんいん)と号する。本尊は十一面観音。寺伝によれば、大宝(たいほう)年間(701~704)藤原鎌足(かまたり)の子定恵(じょうえ)が創立、大宝寺と称し、806年(大同1)坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)の祈願によって初代天台座主義真(ざすぎしん)が再興したという。1697年(元禄10)応源の代に大法寺と改められた。国宝の三重塔はあまりの美しさに思わず振り返るとして「見返りの塔」とよばれるもので、「正慶(しょうけい)二年(1333) 大工殿天王寺四郎某殿、小番匠七人」の墨書銘がある。観音堂に安置される本尊木造十一面観音像、脇侍普賢菩薩(きょうじふげんぼさつ)像はいずれも平安末期の作とみられ、本尊を安置する厨子(ずし)・須弥壇(しゅみだん)とともに国の重要文化財に指定されている。

[中山清田]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大法寺」の意味・わかりやすい解説

大法寺
たいほうじ

長野県青木村にある天台宗の寺。寺伝では大宝1 (701) 年の創立といわれる。正慶2 (1333) 年建立の三重塔は洗練された姿で美しく,初重組物二手先 (ふたてさき) にして柱間を広くとっているのは,奈良の興福寺三重塔と同じ手法であり,国宝。

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デジタル大辞泉プラス 「大法寺」の解説

大法寺〔長野県〕

長野県小県郡青木村にある天台宗の寺院。山号は一乗山。観音堂厨子及び須弥壇は国の重要文化財、1333年に建てられた三重塔は国宝に指定されている。

大法寺〔富山県〕

富山県高岡市にある日蓮宗の寺院。山号は海秀山。高岡大法寺とも呼ばれる。

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事典・日本の観光資源 「大法寺」の解説

大法寺

(長野県小県郡青木村)
信州の古寺百選」指定の観光名所。

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