出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
長崎市南山手(みなみやまて)町に残るカトリック教会堂。1864年(元治1)フランス人宣教師フューレLouis-Théodore Furet(1816―1900)は、大浦にフランス人居留民のための教会堂を建立し、翌1865年2月、長崎で殉教した日本二十六聖人に献(ささ)げた。大浦天主堂は当時、俗にフランス寺とよばれた。創建当時は3基の塔をもつゴシックとバロックの混合様式であったが、1875年(明治8)改築され、塔は中央の1基のみとなった。開国当初の洋風建築、ことにゴシック様式建造物としてはもっとも古いものである。
1865年(慶応1)3月、浦上(うらかみ)村民の一団が大浦天主堂にプチジャン司教を訪ね、カトリックの信者であることを告白した。これが「信徒発見」とよばれる歴史的事件となる。大浦天主堂は、実に250年間のキリシタン弾圧に耐えてひそかに信仰を守り続けてきた潜伏キリシタンが復活した記念の地となった。1945年(昭和20)原爆のために破損し、1952年補修再建された。1933年(昭和8)に引き続き、1953年には二度目の国宝指定を受けている。
[宮崎賢太郎]
〔世界遺産の登録〕大浦天主堂は、2018年(平成30)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産として、世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
[編集部 2018年9月19日]
『桐敷真次郎著『大浦天主堂』(1968・中央公論美術出版)』▽『木村信郎写真、村松貞次郎・片岡弥吉監修『長崎の天主堂――その信仰と美』(1977・技報堂出版)』
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長崎市南山手にある現存では日本最古の天主堂。フランス人宣教師フューレ,プティジャン両神父の設計,天草の棟梁小山秀之進の施工により,1865年(慶応元)竣工。75年(明治8)大改築がなされ,外壁も木造から煉瓦造となる。幕末期に浦上に潜伏していたキリシタンが名のりでて,浦上崩れの発端となった場所でもある。国宝。
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